大晦日に食べるそばは、現代でも歳末の風物詩として多くの人たちに浸透し親しまれているが、そもそもなぜ年越しにそばなのだろうか。
年越しにそばが食べられるようになった由来は長寿祈願、縁起物、捲土重来、健康祈願、三角縁起、運気の6つがあるという。そばが細く長くのびるといった特徴から家運や寿命を延ばすという「長寿説」は広く知られた説だが、この他にも、蕎麦の実が心臓や肝臓などの「五臓」の毒を取ると信じられていたことに由来する「健康祈願説」、そばの実が邪気を払うとされる三角の形であることから縁起が良いとされた説などさまざまなものがある。
年越しにぴったり縁起良い具材
年越しそばの食べ方に明確な決まりはないが、縁起が良いとされるのが鰊と葱。「二親(にしん)」の語呂合わせから多く子どもが生まれるようにという願いが込められた鰊。京都の年越しそばでは定番という。「一年の苦労をねぎ(ネギ)らう」という語呂合わせの葱は食欲を増進し、風の予防にも役立ち、地方によってはネギを箸代わりにしてそばをすくい、葱ごとそのまま食べるところもあるとか。
60余年の歴史ある中原そば商組合
そんな年越しに、毎年区内で美味しいそばを販売しているのが、来年で63年を迎える「中原そば商組合(佐藤敏彦会長)」だ。1956年3月に川崎蕎麦商組合から独立して発足した組織。現在は中原区を中心としたそば屋が所属しており、「お客様に美味しいそばを提供する」をテーマに、組合同士での情報交換や研究会を定期的に開催している。佐藤会長は「皆さまに美味しいそばを提供できるよう切磋琢磨しています。年越しはぜひ地元のおそば屋さんで」と話している。