中原区内で発生するオレオレ詐欺や還付金詐欺などの振り込め詐欺の被害が減らない。本紙では中原警察署の則次誠二郎署長、中原防犯協会の田中明会長、昨年発足した特殊詐欺撲滅対策推進協議会の尾木孫三郎会長に特殊詐欺被害防止への取り組みなどについて話を聞いた。(進行/本紙・佐々木貴広)
――中原警察署の発表によると、今年に入り5月19日時点で振り込め詐欺が17件発生、約1430万円の被害が発生しています。被害の現状と日々防止活動を行う各団体では、どのような取り組みを行っていますか?
※手口・被害詳細は図参照
則次…昨年同時期と単純に比較すれば件数が減っておりますが、アポ電により所持金を確認してから奪いに来る強盗やキャッシュカードをだまし取り現金を引き出す窃盗は件数に含まれていないため、変わらず被害は多いと言えます。5月15日から6月14日までを特殊詐欺撲滅対策推進強化期間としており、より警戒を強化しております。相変わらず詐欺の前兆電話が入っているので、私たちがお願いしているのが、留守番電話の設定と音声を録音している旨を伝える迷惑電話防止機器の取り付けです。犯人は自分の声を録音されることを嫌うので、電話を切り犯行を防ぐのに有効です。
田中…防犯協会では、昨年から進めている「受け子」撃退シールの配布を実施しています。老人クラブ連合会の会長の協力のもと、クラブの方に1800枚配布し、玄関にシールを貼ってもらっております。その後も、警察官が巡回する際にシールを貼ってもらうように声掛けしてもらっています。
尾木…私たちは昨年8月に発足した協議会で、行政や関係団体、民間企業など約20の団体からなります。前兆電話が集中して起こった場合の情報提供や啓発キャンペーンを行っていければと思います。詐欺を防ぐためには家族の話し合いも大事です。小中学生のお孫さんがおじいちゃんやおばあちゃんに注意を促してくれれば、より気を付けてくれると思います。今、区内の各中学校から特殊詐欺を防ぐための標語を募集しています。
――各団体の連携、子どもたちへの周知はどう取り組みますか?
則次…昨年末には宮内中学校の生徒たちが地域防犯交流会を開き、演劇部の生徒が地域住民や老人クラブの皆様の前で特殊詐欺の寸劇を披露し詐欺の一部始終を再現することで注意喚起をしてくれました。今年は署員が披露した寸劇を映像にし、中原交通安全協会や保護司会などの各団体の要請に合わせ上映し防犯に役立ててほしいと思います。
田中…警察署と防犯協会が主催し中原防犯指導員の方々と協力したキャンペーンも定期的に実施しております。年金が支給される偶数月を基本として、ボランティアの方々の協力により行います。今後も中原防犯指導員、老人クラブや区と隣接する高津警察署との連携したキャンペーンができればと思っております。
尾木…詐欺防止については、各団体と警察が連携することで子どもへの教育と年配の方への周知をすることが大事なことだと思います。区内ではタワーマンションが増えていますが、防犯活動を通じて守られているという思いを持って地域に目を向けてほしいですね。
則次…タワーマンションの巡回も徹底して行っておりますが、非常に協力的です。詐欺の話についても熱心に聞いてもらっています。
――凶悪な事件も発生しています。区民はどう注意すべきでしょうか?
則次…やはり、アポ電は怖いです。東京では殺人事件に発展しました。強盗に入られたら危険です。ご自宅にある電話の対策をお願いします。
田中…私の自宅でも迷惑電話防止機器を付けています。怪しい電話は入っていないと思いますが、出来る限りの対策を取りたいですね。
尾木…次から次へと手口が生まれ、これといった特効薬はないと思います。日々私たちが啓発することが大事です。
則次…金融機関やコンビニで職員や店員の協力により被害を未然に防いだことも多くあります。感謝申し上げますとともに関係団体が一丸となって安心、安全な街を目指したいですね。
――ありがとうございました。