人と会えない外出自粛期間だからこそ、つながりを感じられる場所を作れないか――。そんな発想で始まった家庭菜園が、武蔵新城駅近くの集合住宅「第六南荘」の裏の花壇にある。
育てているのは、成長にたっぷりの水が必要となる里芋15株。「チームさとこ」と名付けられたメンバーが当番制で毎日、朝夕の水やりをしている。密を避けるため、それぞれ1人や家族のみで訪れて作業を行う。苗を植えた5月10日時点では8人ほどだったが、不思議なご近所のつながりで現在は12人に増えた。
「なんてことない家庭菜園だけど、自粛期間にピッタリのアイデアだと思って。同じ時間に集まれなくても、みんなで里芋のお世話をすれば、人とのつながりも感じられると考えました」と話すのは、新城で暮らし始めて3年の片山美也子さん(33)。以前から畑作業に興味があったという美也子さんは、夫の浩一さん(32)とともに里芋の育て方を率先して学び、育成の中心的役割を担っている。SNSを駆使して意思疎通を図り、無料画像投稿アプリ「インスタグラム」で成長記録を写真付きで発信している。収穫は9月下旬を予定。「その頃にはメンバーで集まって芋煮会をしたい」と美也子さん。
浩一さんは「肥料の追加など、日々の作業にできる範囲で関わっていくことが面白い。これまでコミュニティは皆で集まらないと成立しないものだと考えられていたけど、今回の里芋花壇を通して、集まらなくても関係性は維持できると思った」と話していた。