「写真・工芸展」を開催する紋様図案家兼写真家 三本松 和徳さん 町田市在住 72歳
伝統と現代の芸術伝える
○…桐箱に描かれた繊細な和紋様、まるで絵画のような大胆な構図と色彩をもつフォトグラフィック。一見まるで別の世界に見える作品を1人で生み出している。着物の紋様図案画家として働き、市内では町田天満宮の半纏のデザインも手がけている。一方で、アナログのフィルムにこだわった芸術性の高い写真作品を撮り続けている。今回の展示では地域の人に活動の一端を知ってもらおうと開催を決定した。
○…出身は福島。実家は農家だったが「空想ばかりしていた」と痩せて体力のなかった子ども時代を振り返る。「手先と頭を使って何かできないか」と18歳の時に絵の仕事に就くべく、上京。専門学校に通って絵を勉強するなか、栄養失調のために銭湯で気を失って湯船に浮かび、救急車で運ばれたこともあった。「つらいことがあっても面白いことを考えてると楽しい」と前向きに物事を捉える。
○…妻と息子の3人家族。「退屈させないように」と息子の部屋の天井にこっそりポスターを張り付けて驚かせるなど「いたずらが好き」とひょうきんな表情を見せる。息子の子ども時代には親子でのキャッチボールにあこがれたが息子が「球を投げても自分に届かない」。スポーツが好きでさまざまなプレイ経験を持つが、どれも体の故障などで断念した自分に「似たのかも」と苦笑いして、父親の面をのぞかせる。
○…一本のシャープペンシルで定規を使わずに図案を描き出す。その技巧の裏には青年時代に、筆で細く均一な線が引けるようにと何度も新聞紙を使って練習した背景がある。技術や感性は「好きだからこそ伸びる」。図案を描いて半世紀が経つが、未だに描くことが「根っから好き」だと笑顔を見せる。30年ほど前から始めた写真撮影もフィルムゆえの「仕上がった時の喜び、同じ写真は二度と撮れない点がやみつき」。目下の目標は「これからいかに作品を残せるか」と意欲的だ。
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