5周年を迎え、8月5日に記念コンサートを行う「町田オペラ小劇場」を主宰する 柴田 素光さん 53歳
「”本物の声”で心を震わせたい」
○…「将来有望な若い人たちの素晴らしい”声”を間近で感じられるコンサートを」と町田オペラ小劇場を立ち上げた。これまで出演した若手は100人以上。その中には現在日本を代表する村上敏明氏など多くの若手がこの舞台から世界へと飛び立った。「お金がないから、セットは手作りだけど、”声”は本物。声の力を信じて、ここまでやってきた。多くの観客から『間近で観られるのはうれしい』と涙を流しながら喜んでもらえるのは、とても幸せ」
○…17歳のとき、町田市民ホールのこけら落としで観た「第九」で人生が変わった。ソリストの声に心が震えた。「こんな声が出せるのか」。マイクも使わずに会場をビリビリと震わる圧倒的な声量に、「俺もなりたい」と決心した。音楽の先生に相談すると、「声がいいから」と背中を押してくれた。「それまで拓郎が好きで、伝説のつま恋コンサートにも行ったのにね」と笑う。高校卒業後、声楽の専門校に進むと、先生に「声はいい。始まって以来の美声だ」と褒められるものの、高い音で苦労する。卒業後は藤原歌劇団や長門美保歌劇団などに出演するも、「合唱や端役しか出番はなかった」と振り返る。24歳のときに結婚し、オペラ歌手になる夢を諦め地元企業に就職した。
○…勤めている間も、年に数回は舞台に立った。そのとき若い人たちの声を聴いて、「この歌声と情熱をプロデュースできたら」と思い始める。35歳のときに転勤を機に退職。知り合いの飲食店で働きながら、若手を集めて『お座敷オペラ』を開催。口コミで広がり140席がいつも満席になった。「現在のオペラは演出が7、歌が3になっている。本来は歌が7でなければ。演出に頼らない、会場をビリビリさせるような”本当の声”で観客を魅了させたい。まだ上演していない演目も多いので、今後はそういう演目にもチャレンジしていきたい」と目を輝かせる。
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