毛が三本 やまとあちこち【1】
滴る?。最初、この漢字、読めなかった。これ、「したた」(る)と読むんですね。意味のひとつは「あふれるばかりに満ちている」と辞書に。例として「緑滴る候」。そうか、だから「緑滴る林 生命の泉」とつながるのか と納得。このフレーズに出会ったのは、かれこれ20年も前になるか。毎年、今の季節になると、一度はなんだかお参りのように出かけて、この文言に出会いに行き、「うん、これわかる」とうなづく。
大和市の北に位置する多胡(たご)記念公園。この一角に多胡三代治・キヨさん夫妻の胸像があり、そこにこの銘文がある。1990年(平成2年)12月に「緑豊かな庭園をみなさんに開放し、後世に伝え続けてほしいと大和市に寄贈」と、市役所のホームページにあった。うーん…。これ、我が家の土地の緑をみなさんにということ。つまり「私」の財産を「公」の資産にしてほしいとした多胡さん夫妻の見識と覚悟。「公」の緑にしておけば、大和市の緑は失うことがないと信じておられたのでしょう。「生命の泉」の次は「病弱の身 緑によりて救われ卆寿(そつじゅ)を迎ふ 最も愛せしもの 緑の大和」と続く。※毛が3本…小杉皓男さん(70)。出版社『学研』の編集を経て、フリーとして活躍中。
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