松田町 「被災地を忘れないで」 陸前高田市長が故郷で講演
岩手県陸前高田市の戸羽太(とば・ふとし)市長(47)が10月5日、生まれ故郷である松田町の町民文化センターで「世界に誇れる美しい街への復興を目指して〜東日本大震災からの教訓〜」と題した講演を行った。1000人の聴衆を前にし、震災で絶望を感じたこと、市の現状、復興への思いなどを熱く語った。
震災直後から行政をあげて支援している松田町(島村俊介町長)に、戸羽氏から「お礼がしたい」と入った連絡がきっかけとなり、今回の講演会が実現した。会場には松田中学校生徒や松田町消防団員、ボランティア、1市3町(秦野市、中井町、大井町、松田町)の住民らが訪れ、満席となった。主催は松田町、公益財団法人神奈川県市町村振興協会。協力は一市三町広域行政推進協議会。
戸羽氏は「昨年2月に陸前高田市の市長に初当選し、それから一ヵ月もたたないうちに東日本大震災がありたくさんの犠牲者が出た。生まれて初めて絶望を感じた」と話し、「三陸沖地震は99%来ると言われており、自主防災組織をつくり訓練も積んでいた。3・11地震の一年前、チリで大地震が発生し、気象庁から大津波警報が出された。国道を閉鎖し高台に避難させるなど丸一日警戒態勢を取ったが結局大津波は来ず、市民は肩透かしを食らった形となった。どこかで油断があった。今回が初の大津波警報であったら犠牲者が少なかったのでは。残念なことがたくさん重なった」と悔しさを滲ませた。
また、現状報告では「復興が遅れているのは、法律に阻まれていることが多い」と述べ、縦割り行政の弊害を指摘した。防災面では電気の確保やボランティアコーディネーター養成の必要などを訴えた。「悔しい思いをしたが、震災から沢山のものも得ることができた。復興への道のりは長いが、障害者、健常者の区別なく社会生活が共にできる『世界に誇れる美しい街』にし、お世話になった方々を笑顔で迎えたい。細く長くどうか被災地を忘れないで下さい」と結んだ。
戸羽氏は65年に松田町で生まれ、東京都町田市で育つ。松田町では震災直後から救援物資を届け、ボランティアを派遣。桜ライン植樹に協力するなど同市を一貫して支援している。
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