編集室にこのほど届いた一通の手紙――。便せんには亡き夫への想いと「二人展」への意欲が綴られていた。山北町の元幼稚園教諭、露木盛枝さん(78)が10月9日(木)から同町生涯学習センターで10年越しの夫婦展を開く。
2004年11月8日午後、盛枝さんの夫で、当時、町の教育委員長だった露木康雄さんが突如他界した。享年71歳――。三保での会合の後、帰宅途中に大動脈瘤が破裂し、搬送先の病院で息を引き取った。
「あまりに突然で、涙も出ず外にも出られなかった。遺品の整理で日記を見つけて…。それを読んでは泣き、夜は仏壇の前で泣く日々でした」と涙を浮かべる。
康雄さんが他界するひと月前、小田原市内で第4回目の「二人展」を開いた。その帰り道で夫が「次は白い和紙で人形を作ってみたら」と語りかけた。
夫が油絵、妻が和紙人形を出展する「二人展」は盛枝さんの退職を機に夫婦で始めた。2年に一度、4回目まで開いたところで途絶えた。
「白い和紙で人形を…」その言葉を思いだし、5回目の「二人展」を地元の山北町で開く決心をした。盛枝さんは「夫やお世話になった皆さんへの感謝の気持ちと合わせ、新しい人生の始まりにもしたい」と準備に余念がない。
和紙人形は全部で4つの場面で構成。すべて手作りの人形は小物を含めると70体を超える。「感謝」と題した作品には大小の僧侶やお遍路さんを配し、台座には亡き母の帯を敷いた。夫と弟が「初めてのお遣い」に行く場面を想像したり、子どもたちが楽しく遊ぶ昔の風景も取り入れた。
これらの作品を夫の油絵と一緒に展示する。
盛枝さんは「苦しい時にいい作品ができる。と、主人が話していた。ずっと悲しかったからいい作品になったと思う」と話す。17日(金)まで。9時から17時。
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