南足柄市の中沼薬師堂で4月12日、結願法要が営まれ、12年に一度の御開帳で8日から姿を現していた本尊「薬師如来坐像」を安置する厨子(ずし)の扉が閉じられた。
御開帳は寅年に営まれ、今年は山車や足柄囃子の演奏などが予定されていたがコロナ禍という状況もあり、法要や観覧のみとして実施された。御開帳の5日間で、本尊や、触れるとご利益を得られるという回向柱(えこうばしら)を目当てに市内外から約1千人が訪れた。
中沼薬師堂は東光山小泉寺(とうこうざんしょうせんじ)と呼ばれる古刹(こさつ)で、約1千年前に建てられたと言われている。内部天井に龍が描かれており、中央には屋根を付けた厨子があり、通常は秘仏として扱われている本尊の薬師如来坐像が安置されている。
薬師如来坐像は、高さは91・5cmで造立は1011(寛弘8)年。眼病に利益があるとして地域住民の信仰を集め、1973年に南足柄市の文化財に指定された。同寺の資料によれば、平安時代の歌人・和泉式部が矢倉沢の江月院に滞在していた時に、自らの眼病治癒のために彫らせたという伝えもあるという。
結願法要には、薬師堂を管理する中沼自治会関係者らが出席。同市生駒の玉伝寺の佐藤勝彦住職が本尊を前に読経を行い、「人と人の心のつながりを大事に元気な姿で12年後に再会しましょう」と呼びかけた。次回御開帳は2034年。
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