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足柄版 公開:2024年2月17日 エリアトップへ

連載【4】 現代に伝わった人形芝居―班目人形芝居の歴史― 足柄高校歴史研究部3年秋山七海さん

公開:2024年2月17日

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足柄座員への聞き取りの様子(2022年6月4日 撮影)
足柄座員への聞き取りの様子(2022年6月4日 撮影)

 県立足柄高校3年の秋山七海さんは昨年11月25日、「全国高校生歴史フォーラム」で江戸時代から続く南足柄市の「班目人形芝居」の歴史をテーマに研究発表を行い、奈良県知事賞を獲得した。前回に引き続き、そのレポート全文(写真の一部含む)を紹介する。

第3章 足柄座の歴史(1)足柄座の発展

 一時中断を余儀なくされた班目人形芝居だが、昭和40年(1965)に 桐竹智恵子氏を指導者とし、地元で「ささら踊」を行っていたメンバーで人形の練習を再開し、班目人形芝居を継承する相模人形芝居足柄座の活動が始まった(発足当時は婦人会として活動)。現在、神奈川県内に存在する相模人形芝居は、足柄座を含め5つの座が活動を行っている。南足柄市の足柄座、小田原市の下中座、厚木市の林座・長谷座、平塚市の前鳥座の五座である。

 班目人形芝居は男性中心だったが、現在行われている相模人形芝居足柄座は女性中心で活動を行っている。現在活動している足柄座の方から聞いた話では、宇佐見ウメ氏という方がリーダーをしていた。「相模人形芝居「足柄座」 三十年のあゆみ」という資料には、宇佐見氏がささら踊に力を入れていた責任者であったと記されていた。その中で宇佐見氏は幼い頃父親が義太夫をやっていたことを僅かに覚えている程度で人形芝居のことはあまりわからなかったと語っている。そんな宇佐見氏の元に、班目人形芝居に関わる窓口を務める教育委員会の遠藤金治氏から「宇佐見氏が中心となってなんとか人形芝居の復活に取り組んでもらえないだろうか」と強い要請があった。そこで宇佐見氏は「私達が郷土のお役に立つのならば」と受けて立たれた。そしてこの呼びかけを昭和38年(1963)の夏頃に婦人会の有志やささら踊の仲間にした。その時この話に賛同して集まった人達がたくさんいた。

(2)聞き取り調査の概要

 ここでは、足柄座の方から聞き取りをした内容を整理していく。2022年6月4日に8名の方から話を伺った。以下、座員の方から聞き取った内容をまとめていく。

 座員の方の話では、資料で読んだ通り、阿波から人形芝居は伝わってきたとのことだ。四国から全国へ人形芝居を伝えていた夫婦が、たまたま班目へとやって来た。その際に夫婦は酒匂川の氾濫にあったが、村の百姓に助けられた。そのお礼として人形芝居を披露した。そして夫婦の奥さんが病気になってしまい、持っていた人形を班目に託したという。班目人形芝居の起源について、先行研究に記してあることよりも詳しい内容が伝わっていることが分かった。

(3)人形芝居の体験

 次に実際に人形をどのように動かして芝居を行っているのか聞き取り調査からまとめていく。

 人形を使うとき中心になる人を「主遣い(おもづかい)」という。主遣いは人形の背中から左手を差し込み、人形の首の部分につながる「心串(しんぐし)」という棒を握って支える。人形は衣裳等を合わせると幼児くらいの重さがある。それを左腕一つで支え、心串の「うなずき」や「小ザル」を左手の指で引き、首の色々な表情を作る。そして遣い手の右手で人形の右手を遣う。また主遣いは足遣いの姿勢が楽なように「舞台下駄」という特殊な下駄をはく。「左遣い」は右手で人形の左手を遣う。左手は自由になり、その人形の使う小道具を取り出すが、普通は目立たないようにしている。「足遣い」は、後ろから中腰に構え、人形のかかとに付いた足金(あしがね)を持って足の運びを操る。女の人形には足がないので、衣裳の裾(ふきと呼ばれる)の内側を人差し指と中指ではさみ、いかにも歩いているかのように見せる。三味線に合わせての足拍子を入れるのも足遣いの役目となっている。  次回最終回

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