綱島東にある「綱島温泉東京園」が今月19日の営業終了後、休園となった。今回の休園は、現在進められている「相鉄・東急直通線」に伴う新駅建設工事開始のためだ。工事は2019年まで行われる。同園の再開時期は未定という。
現在の姿からは想像しづらいが、綱島地域はかつて温泉地として栄えていた。その歴史は古く、1914年に地元住民が井戸を掘ったところ赤水が湧き出したことから始まったという。その赤水を風呂の水として使用したところ、薬効があり検査の結果ラジウム温泉と認められ温泉開発が行われた。
区の歴史をつづった「わがまち港北」によると、26年には東京横浜電鉄(株)(現東急)綱島温泉駅が開業。翌27年に同社が「旅客誘致及土地開発の一助」として開場した「綱島温泉浴場」が現在の綱島温泉東京園にあたる。当時の入浴料は20銭。電鉄の往復乗車券所有者は無料だったという。
敷地の下に駅整備
現在整備が進む「相鉄・東急直通線」が休園理由。事業主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構によると、新駅「新綱島」(仮称)の整備が、敷地内東側にある宴会場付近から掘り下げていく工事内容になるためだ。それに伴い建物は壊され、今後は1日最大で約250台の工事車両が敷地内を出入りすることになる。工事は25日(月)に始まる予定で、「新綱島駅」開業予定は2019年4月となる。
工事期間中同園では、「1日も早く再開してほしい」という思いに応えようと、銭湯のみの仮店舗営業を検討している。
多方面から支持
近年では「お笑い」「音楽」「アイドルグループ」のライブイベント会場として利用されることも多く、地元住民以外にも多方面からの支持を集めてきた。マラソン後に東京園で汗を流すイベントを企画してきたみちくさマラニック走援隊の小野道章さんは「疲れたランナーの疲れを取ってくれて助かりました。廃業ではなく休園と聞いているので、再開を待っている」と話している。
「思い出は宝物です」
休園を公表した2日後の15日には、平日にも関わらず開園前に行列を作った。また、建物の内に設けられた落書きスペースには「東京園での思い出は宝物。再開を心待ちにしています」などのメッセージが書き込まれていた(=写真)。
また、長年鶴見区からバスで通った常連客は「休園はさみしい」と話した。
同園を運営する中村興業(株)・中村ゆう子代表取締役社長は「長年のご愛顧に感謝します。またみなさまとお会いできる日を楽しみにしております」と話した。
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