シニア世代の交流の場となっている「なかはら歌声喫茶」が5周年を迎えた。発足当初は10人ほどだった参加者も、今では多い日で50人近くが訪れるまでになった。参加者の心を掴むのは、青春の昭和の歌謡曲だ。
6月15日、井田老人いこいの家で行われた5周年を祝うイベントには、60代から80代までの約40人が参加した。フォークギターの演奏に合わせて、歌詞カードを手に「上を向いて歩こう」や「高校3年生」など昭和の歌謡曲を熱唱。身体を揺らしたり、手拍子をしたり、笑顔に溢れていた。
「5年前はこれほど盛況になるとは思わなかった」と話すのは、なかはら歌声喫茶を立ち上げた都所正紀さん(65)。中原区役所保健福祉センター長を務めていた時、地域に高齢者が集う場が少ないと感じたという。「配偶者との死別や核家族化などで孤立した高齢者が増える一方で、近所づきあいがない。人口は増えているのに良い方法はないか」と、他市への視察を重ね、ヒントにしたのが昭和の歌謡曲だった。「昔流行した曲は憶えているもの。若き日を思い出し元気になれるはず」。定年後、行政と民間の橋渡しをし、「すみよし」と「いだ」の地域包括支援センターで月1回開催してきた。趣味のギターを伴奏に、1回10曲以上を合唱し、レパートリーは100曲ほどに。参加者も300人ほどで、リピーターも数多い。
5年前から欠かさず参加しているという福地勝久さん(72)は「仲間との会話が弾み楽しい。カレンダーには真っ先に予定を書き込む。一番の良薬です」と笑う。都所さんは「皆さんのにこやかな表情を見るのが私のやりがい。居場所づくりにと始めたことが、今では私の居場所になっている。元気を与える取組みを今後も継続していきたい」と話す。
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