中原剣道連盟の会長に就任した 椎名 春夫さん 横浜市在住 66歳
武道である剣道を後世に
○…今秋に行われた区民剣道大会では、約150人の若い剣士らの真剣勝負を見守った。「礼儀正しく、相手を重んじ、真摯に向き合っているかどうか。たとえ試合で負けたとしても、内容が素晴らしければ称えたい」。そんな日本の精神文化でもある剣道という武道を伝承していくことが会長としての抱負だ。「スポーツのような勝利至上主義ではないのが剣道。その点を重視していきたい」
○…西丸子小の頃、勉強はできたが唯一体育が苦手だった。運動会の短距離走を観た親から「本気で走っているのか」と責められたほど。ただ中原中学で出会った剣道だけは違った。「精神的にも強くなるのを実感できた」と練習は一日も休まず、2年生の時に市大会で優勝するなど実力も自信もつけていった。多摩高校に入学し剣道部がないと知ると、1年生にして部を設立。「当然指導者はいない。だから私が指導者となって教えていたよね」。始動から僅か数年で、部は関東大会に出場するなど活躍。自らも大学2年で4段、3年で5段を取得。46歳での8段合格は全国最年少だ。
○…建築金物の設計から施工までを手掛ける会社を経営。スカイツリーやみなとみらいの建造物をはじめ、全国から依頼がくる。「営業をかけたことは一度もない。剣道と同じく真面目にやってきただけ」と、高品質や納期の厳守などで顧客との信頼関係を重んじてきた。その背中を今は息子が追いかける。「現場ではよく言い合いをするけどね」といいつつも、親子で働ける喜びを感じる日々だ。
○…65年間、怪我とは無縁の強靭な肉体も、先日に上腕二頭筋を傷めた。それでも「今ある身体で闘うのが剣道の原点」と痛みをこらえ稽古に臨む。今、中原区で指導にあたるのは、生まれ育った街への恩返しの思いも込めて。「昔と時代は違うけど、我が子に剣道を習わしたいご両親の気持ちにも応えたい」。気力も体力もまだまだ衰えない。
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4月26日
4月19日