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鎌倉版 公開:2012年10月19日 エリアトップへ

障害者宿泊訓練で課題も 「虹の子」市内で初実施

社会

公開:2012年10月19日

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通所者自ら毛布を運ぶ訓練も=12日市教養センター
通所者自ら毛布を運ぶ訓練も=12日市教養センター

 知的障害者の地域活動支援センター「虹の子」(市内常盤10の10、中川千惠子所長)は10月12日、大規模災害を想定した1泊2日の「宿泊避難訓練」を市教養センター(市内笛田)で実施した。虹の子の通所者11人が参加した。公共施設で障害者を対象とした同様の訓練は市内初。中川さんは3・11を教訓に、より一層の避難対策、および障害者に対応した避難所の必要性を指摘している。

 災害時を想定し、寝具は備蓄用毛布を使用、食事も非常時用の保存食とした。これらは、市総合防災課の協力による。訓練を終え、「虹の子」の中川さんは「眠れないなど不安になる参加者が多かった。課題を今後に生かしたい」と話した。

 この宿泊訓練は、昨年の東日本大震災における障害者の被災状況を受けてのもの。中川さんによると、障害者は健常者の2倍の確率で被災したという。

 知的障害者の通所施設の運営者として強い危機感を持った中川さんは、今年4月に、施設が位置する深沢地域で「災害弱者を考える会」を立ち上げた。民生委員や自治町内会メンバーをはじめ青年会議所も参加。行政にも働きかけ、地域ぐるみで月に1回ほど、防災対策を話し合っている。

 6月には、最初の取り組みとして知的障害者の通所施設「工房ひしめき」(鎌倉山2丁目)と共同による避難訓練を実施。そこで、通所者の誘導など様々な課題が見つかったという。実際には、ヘルメットをかぶって逃げるだけで精一杯だったようだ。

 さらなる訓練の必要性を感じた中川さんは、市社会福祉協議会や行政に宿泊訓練の実施を働きかけ、市内笛田の市教養センターを活用する許可を得て、今回の実施となった。

福祉避難所の設置急務に

 災害時における避難経路の確認はもちろん、避難先が課題となる。

 鎌倉市においては、各地域の小中学校が身近な避難場所として指定されており、食糧や毛布、照明などの資機材が備蓄されている。

 しかし、障害者の場合は、知的・発達・認知・肢体などその状態は様々。個別の対応が求められるため、「仮に近くの小学校に避難できても、その後の対応ができない。障害者が避難できる場所が絶対に必要」(中川さん)と指摘する。

 2008年、国は介助が必要な高齢者や障害者、妊産婦らに対応した「福祉避難所」設置のガイドラインを策定しており、全国的に導入が進んでいる。一方、鎌倉市においては現在のところ、このガイドラインに沿った避難所はない。

 市総合防災課の職員は福祉避難所について「鋭意、選定を進めている。できるだけ早い時期に指定を行いたい」と話した。また、今回の訓練については、「今後に役立たせるため、情報を収集したい」と語った。市障害者福祉課の課長は、「共助の一環として今後の参考になれば」と話した。
 

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