ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)から昨年4月30日に「不記載」という勧告を受けた「武家の古都・鎌倉」。神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の4県市は再推薦・登録に向けてコンセプトや構成資産を検討するため、同勧告を分析し、その検証結果をこのほど発表した。
4県市がイコモスからの勧告の検証を始めたのは昨年夏ごろ。担当者レベルで分析をしたのち、秋から冬にかけて国内外の有識者10人以上から意見を聴取、その後約3カ月で検証結果をまとめた。
勧告では、構成資産自体の価値や真実性、保存管理の体制については評価されたものの、コンセプトの「武家の古都」にあたる都市生活等に関する物的証拠と国内外の類似遺産との比較研究が不十分とみなされた。
分析の結果明らかになった不記載の主な要因は、「武家政権などを示す物的証拠の不足」「国内外の資産との比較研究の不足」「世界的普遍性を訴える説明の不足」の3点。さらに有識者からは「都市遺産的と受け止められない明確なコンセプトが必要」「有形の物証について比較研究後、価値を具体的に説明するべき」などの意見が出された。
これらの検証を踏まえ、4県市は資産の普遍的価値を証明するため、「記載延期」勧告から再推薦ののち登録を果たした「平泉」をはじめ類似点の多い国内外資産などとの比較研究に力を入れていく、と今後の方向性を示した。
市歴史まちづくり推進担当は「個別の史跡についての比較検討に最低でも3年、コンセプトの再制定に2年はかかり、さらにその後の手続きを考えると再挑戦は5年以上先になるだろう」と見通しを話している。
鎌倉が世界文化遺産の暫定リストに記載されたのは1992年。2012年に文化庁から正式に推薦された。しかし昨年4月にイコモスから「不記載」勧告を受け、同年5月に推薦を取り下げていた。
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