振り込め詐欺被害 増加に歯止めかからず 「過去最悪」ペース続く
鎌倉市内における振り込め詐欺の発生件数が増え続けている。8月末時点で件数、被害額ともに、過去最悪となった昨年の同時期を大きく上回る。警察は市民への啓発活動に加え、金融機関との連携強化で「水際」での抑止にも力を入れるが、犯人グループの活発な活動に対策が追いつかないのが現状だ。
8月末までに市内で発生した振り込め詐欺は29件、被害額は約8480万円に上る。これは過去最悪だった昨年の同月比で件数は14件、被害額は約4440万円の増加となった。
手口は息子や親戚を名乗って金銭を振り込ませたり、受け子と呼ばれる人物に渡すように指示したりする「オレオレ詐欺」が最も多く20件を占める。また市役所職員などをかたり「医療費の還付金がある」などと言って振り込ませる還付金詐欺が6件、架空請求が3件と新たな手口も増加傾向にあるという。
鎌倉警察署生活安全課では「以前は電話の多い曜日など一定の傾向があったが、最近は毎日のように電話がかかってくる」として、犯人グループの活発な活動が被害増加の原因と見る。
鎌倉署、大船署では防災行政無線を使った広報などのほか、管内の60歳以上の高齢者がいる全家庭への訪問をスタートさせた。最新の手口などについて、対面で伝える方針だ。
また金融機関との連携を強化し、高額な預金を引き出す高齢者などに対し職員による積極的な「声かけ」を推奨している。その成果もあり8月末現在で、銀行やコンビニといった「水際」で53件、約1億9600万円の被害を抑止した。ただ、一度は思いとどまったにもかかわらず、再度かかってきた電話によって結局振り込んでしまったケースなどもあり、犯人側の手口も巧妙さを増している。
大船署生活安全課では「振り込め詐欺について知識はあっても『自分のところにはこない』と思っている人が多い。自分も被害に遭う可能性があると考えて対策をしてほしい」と話している。
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