市民の反対運動をきっかけに開発が中止され、鎌倉市による保全が決まったことで知られる腰越地区の広町緑地。運動に携わった市民らがこのほど、25年にわたる取り組みを一冊にまとめた。書籍は市内をはじめ全国の図書館、大学に寄贈される予定で、関係者は「緑地保全の成功例として、多くの人に知ってもらえれば」と話している。
広町緑地に開発計画が持ち上がったのは1978年。84年には周辺8自治会の住民からなる「鎌倉の自然を守る連合会」が結成された。
同会による署名や募金、市との協議などを経て同緑地の開発は2002年に中止。04年には鎌倉市から「鎌倉広町緑地基本構想」が発表され、今年4月、「都市林公園」として開園した。
こうした保全の記録をまとめた『鎌倉広町緑地保全運動史―25年にわたる市民運動の記録と資料』を編纂、発行したのは、市内腰越の安倍精一さんら。安倍さんは08年にも『鎌倉広町の森はかくて守られた』(港の人)を出版したが「掲載しきれなかった情報がまだたくさんある。後世のためにも詳細な記録を残したい」と10年から3人の編纂委員で情報をまとめてきた。
同書はA4判366ページ。陳情書や写真などの資料は、巻末のCDに収録した。160部を発行し、市内をはじめ全国の公立図書館や大学へ寄贈する予定。
6月5日、松尾崇市長を訪問し、書籍を手渡した安倍さんは「広町は地元住民が連携して反対運動に取り組んだことで開発を阻止することができた。この成功例が各地で緑地保全を行う人の力になれば」と話した。
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