鎌倉市議会は5月31日、臨時議会を開き、2017年度一般会計当初予算から削除した市観光協会への補助金約4670万円を「復活」させる補正予算案を、賛成多数で可決した。市議会が求めていた同協会の理事会議事録等の資料が提出されたことを受けたもの。審議では議員から、協会の組織改革や市との連携強化を求める意見が相次いだ。
交付が決まった補助金は、市が観光協会に委託しているイベントの経費や職員の給与、事務所の家賃などに充てられるもの。もともとは市議会2月定例会に提案された本年度一般会計当初予算案に、同額が盛り込まれていた。
しかし同協会が運営する鎌倉駅東口の観光案内所が昨年10月にリニューアルされた際、多言語対応の強化を理由に従業員の多くと契約を更新しなかったことが「雇い止め」に当たると市議会が指摘。理事会の議事録や就業規則の提出を求めていた。
これに対し同協会では、公益財団法人を所管する神奈川県などとも協議した結果、「提出する法的な根拠がない」や「公開を前提としておらず、自由闊達な議論ができなくなる恐れがある」ことなどを理由に「審議に必要な部分だけを提出する」と回答。「1年分の議事録の提出」を求める市議会との意見が平行線のまま、補助金を削除した予算案が可決された。
これを受けて同協会は「運営資金が枯渇する恐れがあり、団体としての存続も見通せないなかでの参加は難しい」として、花火大会の実行委員会を退会。実行委が当初予定していた7月19日での開催を中止すると発表した(その後、市主催、有志の実行委が主体となって花火大会実施に向けた準備を進めている)。
組織運営に注文相次ぐ
その後も市と同協会との間で調整が続けられた結果、「非公開にする部分などを検討したうえで、議事録等を提出する」と5月17日の理事会で決定。19日、市に資料が提出されたことから、31日に開かれた臨時議会に市が補正予算を提案した。
臨時議会では観光厚生常任委員会、総務常任委員会での審議を経て、本会議で賛成多数で可決され、補助金の「復活」が決まった。
ただ総務常任委員会が「協会は運営状況についての説明責任を積極的に果たすべき」や「市が適正で透明性を確保した協会運営が行われているか、把握に努めることを要望する」といった付帯意見を出すなど、協会の組織改革と市の監督体制に対する「注文」が相次いだ。
同協会では「慎重に議論を進めてきた結果だが、資料の提出が遅れたことは反省している」としたうえで「最も観光の現場に近い立場として、課題の吸い上げや情報発信、またインバウンド対策の強化といった観光振興策に、市と一体となって取り組んでいきたい」と話した。
6月末に役員の改選を迎えることから、今後は市職員を理事に迎えることなども検討しているほか、現在、市観光商工課が担っている花火大会の事務局運営に関しても、ノウハウを提供していくという。
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