震災などの影響から市内の入込観光客数が過去7年で一番少ない1811万人となった昨年と比べ、例年通りに戻りつつあるという今年。その反動も関係してか、江ノ電沿線で観光名所の最寄駅を使用する住民からは、乗降客数のピーク時には、鎌倉駅を利用しようとしても「ホームに入れない」などの声が上がっている。
長谷駅から七里ヶ浜駅までの沿線に住む市民にとって、江ノ電は主要な交通手段の一つだ。その一方で、沿線には観光名所が複数あり、また海水浴に訪れる人も多く利用する。
年末年始や5月の大型連休、あじさいで賑わう6月になると毎年江ノ電鎌倉駅のホームに入場制限がかかるほど利用者が集中。制限はピークである正午前後に限られるが住民も制限時間内の利用の場合、観光客と一緒にホーム外で1時間以上も入場を待つケースもあるという。
極楽寺駅周辺に住む女性は鎌倉駅からの帰路において「仕方がないから和田塚駅まで歩く。そこでも乗車できなかったら由比ヶ浜駅まで歩く。年をとってもこれで通用するか心配」と不安を語る。また、長谷駅が最寄りの女性は「せめて地元の人だけでも先にホームに入れてくれるだけで大分楽になると思う」と話している。
他にも観光名所周辺の住民からは「突然『トイレを貸してくれ』と訪ねてくる」「ゴミを置いていく人がいる」などの声もある。
市も問題を認識
江ノ島電鉄(株)によると、今年6月のあじさい観光シーズンの乗降客数は、全駅の合計で約171万6千人になり、震災の影響等で少なかった昨年より7・2%増加。海開きの7月では、昨年比11・8%増の約145万6千人の乗降客数で、一昨年の6月、7月より約3%増加しているという。
乗客数過多への対応について江ノ電は今年の4月より「アフタヌーンパス」を導入。入場制限が発生しやすい正午から観光客を分散させることを目的に、午後1時以降に利用可能な1日乗車券と江の島シーキャンドルなどへの入場券のセットを、割引価格の千円で販売している。
市全体への入込観光客数は、市観光商工課によると昨年は1811万人で一昨年より7%減少したものの、今年(9月3日現在)は一昨年並みの数字になりつつあるという。
観光客へはホームページや観光案内のパンフレットに住宅にゴミを投げ込まないなどの注意を記載し、マナー向上を呼びかけている。
世界遺産登録を見据える状況で、登録になればさらなる観光客増も予想される。市世界遺産登録推進担当は「多少の増加を見込み、市と鉄道会社、近隣住民とともに交通計画見直しの検討委員会で現在話し合っている」と説明した。
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