小中学生が国際平和に対する思いを発信する「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」で、美しが丘小学校6年の岡田帆南(はんな)さんが教育長賞、山内中学校3年の前田真理さんが審査委員長賞を受賞した。
=中面にスピーチ全文を掲載
同コンテストは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)に基づき、国際平和のために自分がやりたいことをスピーチするもの。今年で24回目を迎え、各小中学校から約5万人が参加した。
小学校の部と中学校の部があり、各区の予選会を突破した区代表18人が7月に行われた本選に出場。両部門で市長賞、教育長賞、審査委員長賞が2人ずつ選ばれた。
平和願い「伝えたい」
小学生の部で「教育長賞」に選ばれた岡田さんは、スリランカで今年4月に起きた同時爆破テロなどから平和について考え、「私が伝えたいこと」と題してスピーチした。
初参加だったこともあり、スピーチ本番前は緊張して体が震えたというが、「ステージの前にいる人に聞かせようと意識して話し始めると、練習通りできた」。家族にも聞き手になってもらい、毎日続けてきたスピーチ練習の成果を発揮した。一方、目標は市長賞だったと話し、「悔しかった」と本音ものぞかせる。
父親の仕事の関係で、年中から小学校3年生までをスリランカで過ごした岡田さん。現地のインターナショナルスクールで最初にぶつかったのは、英語で言いたいことが言えないという言葉の壁。それでも同校での演劇活動等を通じて「話せなくてもコミュニケーションをとろうとすることで、(国籍を越えて)仲良くなることができた」と、コミュニケーションの大切さを学んだという。
一方、自らの在住経験から平和なイメージを持っていたスリランカで4月にテロ事件があったことを知り、ショックを受けた。平和について考え続け、必要なこととして行きついたのが「ルール」「コミュニケーション」「知識」。スピーチではこうした自身の考えと実体験を語り、平和への思いを込めた。
現在も続ける演劇や、放送委員会での活動などから「表現」や「伝える」ことを大切にしている岡田さん。「ニュースだけでは分からない情報を伝えたい」と、将来はアナウンサーになるのが夢だ。
「日本でも語学支援を」
中学生の部で「審査委員長賞」に選ばれた前田さんは、日本語が不自由な児童生徒に対する教育制度をテーマに選び、「皆に平等な教育を」と題してスピーチした。
前田さんは、教育は誰もが受ける権利のあるものだと説明した上で、保護者の仕事などを理由に来日した外国籍の子どもが、日本語が分からずに授業内容を理解できていないことを訴え、語学支援が必要だと主張した。
この思いの根底にあるのは、自身の経験だ。前田さんは小学4年生から中学1年までアメリカで過ごしたが、最初の1年間は全く英語が分からず、毎日泣きながら通学したという。しかし、現地では英語が母国語ではない子どもに対するサポートがあり、そこで学べたことで英語が楽しいと思うようになったという。
前田さんは日本語指導が必要な児童・生徒数についても調査。神奈川県は全国で2番目に多い約5千人であることを挙げながら、平等な教育環境を提供するための行動にも言及し、日本語が不自由な子どもをサポートするボランティアとして活動したいと語った。
スピーチコンテストは初めてで、すごく緊張したと話すが、校内予選、区予選会、本選と進むにつれて相手に話すように伝えることができるようになったという。「賞はびっくりしたが、うれしい」と話し、「日本の問題だと思っていたことを、素直に伝えられたことが評価をされたのかな」と振り返っていた。将来は自分が海外で苦しんだ経験を生かし、中学校の先生になりたいと話している。
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