2024年11月6日に区制30周年を迎える青葉区。節目の年の始まりにあたり、本紙は中島隆雄区長にインタビューを行った。中島区長は記念事業のほか、子育て施策や高齢者向け施策など、幅広く区政運営について取組を語った。 (聞き手/本紙・佐藤信彦)
――昨年4月に着任されました。区の印象は変わりましたでしょうか。
「区長として着任して以来、区民の皆様から温かい声掛けを多くいただきました。青葉区は大きなまちですが、地域のために行動する方々が本当に多いと実感しており、大変感謝をしています」
――昨年の振返りを。
「新型コロナウイルスの5類移行を機に、地域の夏まつりや運動会が開催されるようになったほか、区民まつりや区民マラソン大会といった大規模イベントもコロナ禍前と同様に行われました。主催者の皆様に話を聞くと以前に比べ多くの参加があったそうで、区民の皆様も我慢の時期を経て、参加の喜びを感じているようです。私もまちに活気が戻ってきたことを嬉しく思っています」
――いよいよ区制30周年を迎えます。
「これからも『住みつづけたい・住みたいまち』であるために、あらゆる世代の皆様が”ふるさと”や”地域の絆”を感じ、また、活躍もできるように区制30周年のキャッチフレーズを『未来へつなごう 青葉の魅力』としました。11月4日の記念式典をはじめ、花と緑を楽しめるウオーキングツアーなど30周年を楽しめる様々な行事を準備し、皆様と一緒にお祝いしたいと考えています。これまでを振り返り、これから先の未来に思いを寄せる、心に残る1年になるように願っています」
子育て情報をアプリで
――区政運営についてお尋ねします。子育て支援ですが、DXの取り組みを進めています。
「子育て世帯が地域とつながり、孤立することなく子育てができるように、22年3月に青葉区独自の子育て情報発信アプリ『Aonico(あおにこ)』をリリースしました。市や区の子育て関連制度や手当などの紹介や、地域イベント・施設情報検索、予防接種の自動スケジューラー、乳幼児健診情報のプッシュ通知などの機能があり、特に0〜2歳児がいる世帯に活用されています。23年11月末時点で2890人が登録していますが、引き続きアプリの周知に取り組んでいきます。また、Aonicoが先行事例となって、現在、市も「子育て応援サイト・アプリ(仮称)」を開発中で、今年から稼働予定です。
中島区長インタビュー高齢者にeスポーツ交流創出、居場所づくりに
――高齢者向け施策では健康寿命の延伸に向けた調査を行いました。
「桐蔭学園と『こころと身体の健康調査』を実施し、昨年6月に結果報告を受けました。認知症は、抑うつ(ストレス)や糖尿病などの疾病が発生リスクを高める一方、自宅や職場以外に『居場所』があるとリスクを下げることも分かっています。認知症は誰でもなりうるからこそ、安心して暮らせる地域づくりが大事です。日頃から人との交流機会の創出や居場所づくりなどに引き続き支援をしていきます」
――健康づくりにeスポーツを活用しました。
「高齢者の交流機会の創出という観点から、誰もが手軽に楽しめるeスポーツを区独自に推進しています。『太鼓の達人』と『グランツーリスモ』を用意し、昨秋に区役所などで体験会を実施したほか、老人クラブや自治会など13カ所でモデル実施をしました。体験者からは『楽しかった』『またやってみたい』など前向きな感想が多くありました。eスポーツをきっかけに高齢者の社会参加だけではなく、地域活動の活発化や多世代交流の機会創出などにつなげ、結果として区民の健康づくりに寄与できる形を目指しています」
民生委員の負担軽減
――今年度、「地域見守りサポーター」制度が始まりました。
「現在、民生委員・児童委員が『地域の身近な相談役』として高齢者や障害者の方などを見守り、困り事の相談を受けて行政などにつなぐ役割を担っています。一方、民生委員の活動の幅は広く、その負担感から担い手不足が深刻な問題になっています。そこで今年度から民生委員が欠員となっている地区について定期訪問を専門とするボランティア『地域見守りサポーター』を導入しました。現在は4人ですが、増員をして民生委員の負担を軽減しながら、活動を継続できるように取り組んでいきます」
ペットの防災対策
――防災についてお尋ねします。青葉区は犬などを飼っている人が多いですが、ペット対策は。
「区内で登録されている犬は1万5881頭で、市内1位です。ペットは家族の一員ですから一緒に地域防災拠点に避難するケースもあるでしょう。そこで、拠点に一時飼育場所の開設支援キットと簡易テントの配備をしています。今年度内に区内41拠点中21拠点で配備が完了する見込みです。しかし、拠点では動物が苦手な避難者やアレルギーなどへの配慮から飼い主はペットと一緒に過ごせません。人とは別にケージに入って校庭などで過ごしてもらいます。また、餌の備蓄も当然ありません。飼い主の方は餌やペットシーツなどの備蓄、ケージで大人しくしていられるようなしつけが必要になります。今後もペットとの避難に関心を持ってもらえるように広報に取り組んでいきます」
区内でシェアサイクル
――脱炭素の取組ではいかがでしょうか。
「現在、青葉区を含めた市内広域でシェアサイクルの社会実験を行っています。区内には35カ所に約200台の電動アシスト自転車の利用環境が用意されています。昨年11月の区内貸出回数は約4000回で、利用実績も増えています。私も実際に使用してみましたが、坂道も無理なく登れ、借りた場所でなくても別の場所で返せる片道利用もできて便利です。シェアサイクルという新しい移動手段が増えることで、区民の行動変化のきっかけになるのではないかと考えています。ぜひご利用ください」
区役所でウェブ予約
――区役所の利便性を高める取組は。
「昨年から引っ越しや印鑑登録、戸籍の届出についてスマートフォンやパソコンで来庁日時を予約できる『事前web予約』制度を開始しています。予約日時に区役所に行くと優先的に案内され、待ち時間の短縮につながる仕組みで、民間企業との協働で運営費用も掛からずに導入することができました。予約の有無で待ち時間は2分の1程度まで短縮できています。混雑状況もHP上で把握できるようになりましたのでご覧ください。例年、2月と3月は戸籍課窓口が大変混雑するので、青葉区のHPから事前に予約した上で、窓口にお越しください」
「未来へつなごう」
――区民に向けて。
「2027年に横浜で開催される『GREEN×EXPO2027』に向けて区の魅力である豊かな自然や身近にある花や緑に親しんでもらい、環境を守る地域の活動にも目を向けていただけたら。また、繰り返しになりますが、今年は区制30周年のキャッチフレーズでもある『未来へつなごう 青葉の魅力』を胸に、10年、20年先を見据え、区民の皆様と一緒に区の魅力を高める取組を進めていきたいと思っています。引き続きご支援、ご協力のほど、よろしくお願いします」
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