「防災塾だるま」の10年誌を編纂した 池田 邦昭さん 白山在住 73歳
命あっての物種
○…「だるま」のモットーは防災に対する意識と対策を広く伝えること。「10年の節目に今までの活動を整理し、今一度自分たちの活動を振り返るために制作を提案しました」ときっかけを語る。記念誌には過去に行った取り組みや講座を担当した講師らのエッセイなどが集められている。読んだ人が会への興味を持つだけでなく、会の意義を身近に持ってもらう狙い。
○…知人に講師を頼まれて参加した神奈川大学の災害について考える講座で、同じ考えを持つ人たちと出会ったことが会を作るきっかけになった。「自分は趣味で知識を集めていただけだったから、講師をするのは場違いかと思った」と振り返りながらも「あの場の出会いが今の自分を作っている」と目を細める。会では、講座やイベントの立案やそのための資料集めなどを担っているが、「思い立ったらすぐ行動」という性格なので、企画が行き当たりばったりになることもしばしば。「会員のみんなに助けられながらなんとか進めています」と照れ笑い。
○…幼少期に聞いた父の話がすべての始まりだった。関東大震災を現場で体験した父の話を何度も聞くうちに「もし自分が同じ境遇になったら」と危機意識を持つようになった。「祖母におんぶされながら、火の海を脱した話は今も、自分の体験のように思い出す」と声を震わせる。56歳の時、長年勤めていた保険会社をリストラにあい、職業訓練学校で消防設備士や電気工事士など災害時に役立ちそうな資格を学ぶうちに思いが再燃した。「リストラもいいきっかけだった」とあっけらかんと笑う。
○…会の知名度は年々高まっており活動の幅も広がっている。これからは学校での防災教育を行うことも目標の一つ。小さいうちから意識を持ってもらうために、記念誌を役立ていく。「知識を持って対処すれば、私の父のように生き残れる。命あっての物種ですね」と笑顔を見せた。
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