緑土木事務所で展示を行う絵手紙サークル「絵ぽっく」の代表を務める 田中 照美さん 三保町在住
「伝えれば、返ってくる」
○…緑土木事務所での作品展示は10年ぶりとなる。夏の終わりに展示した作品を秋仕様のものに入れ替えたばかり。「季節感を大切にしたい」と労を惜しまない。サークルを立ち上げ、12年が過ぎた。20人前後の会員とともに作品づくりに没頭する時間が何よりの楽しみ。もう少し寒くなったら、毎年したためている干支の絵手紙年賀状作品を展示しようと張り切っている。
○…鶴見区生まれ。「横浜を出たことがない」という生粋の浜っ子だ。30代の頃、夫を病気で亡くして以来、女手ひとつで子ども2人を育て上げた。企業人として定年まで勤め上げ、第二の人生を模索していた頃に生涯学習講座で絵手紙と出会った。病気の姪っ子にお見舞いのつもりで描き続けるうち、身近なものをじっと見つめ、一心に描き上げる面白さ、色とりどりで心まで華やかに明るくする絵手紙の魅力に惹かれ、数年後には仲間と教室を開いた。「一生打ち込めるものに出会えたことは、人生の中で本当に幸せなことだった」と穏やかに語る。
○…教室を立ち上げて間もなく、難病にかかり、入院、手術、車いす生活、リハビリとつらい日々を送った時、自分を支えてくれたのは仲間から送られてくる絵手紙の数々だった。「姪っ子を支えるつもりで描いていた絵手紙に、今度は自分が支えられていた」
○…根っからの明るい性格で、誰とでもすぐ仲良くなる。しかし、会社勤めが長かったせいで、定年後、地域に友人もなくさびしかった時期があるという。「とにかく一歩踏み出すことが大切だった。その後の人生ががらりと変わったもの」と人生を振り返る。「絵手紙もね、思いをこめて描き、相手に送って心が伝われば、かならず返ってくる。このことに自然と感謝の心がわいてくる」と笑顔になる。”感謝””努力””一生懸命”―。自身の作品にもたびたび登場する言葉たちが、前を向く背中をそっと後押ししてくれる。
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