自分の感情を信じる WEN-DOに学ぶ護身術
「今朝起きてからの行動を思い出して下さい。自分の意志で、自分のためにしたことはいくつありますか?」「顔を洗った。朝食をとった。テレビを見た。買い物は…ええと…」。無意識に近い行動も含めて、Aさんが列挙する。Bさんはその一つひとつに耳を傾け、「いいね!」「すばらしい!」と褒め称える―。
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これは、カナダ発祥の護身術WEN-DO(ウェンドー)のインストラクター・橋本明子さん(45)によるワークショップの一場面。2人1組で行う「ピアサポート」という傾聴プログラムで、日ごろから自分の感情と一致した行動をとる大切さを学ぶとともに、第三者に繰り返し肯定してもらうことで、「自分を信じる力」「自分を大切に思う心」を養う。
橋本さんのワークショップでは、WEN-DOの身体的な護身術に加えて、心を守るピアサポートなどのプログラムも独自に導入している。なぜなら、「自分の感情を信じる力」こそ、卑劣な暴力から身を守る上で大切なポイントだからだ。
橋本さんは小学6年生の時、母親の再婚相手に性的虐待を受けた経験をもつ。必死に助けを求めても、周囲の大人は見て見ぬふり。口止めさえした。「私が悪いのかも」「恥ずかしいことだから言ってはいけないのだ」と思い込まされ、その後も長年、自尊感情を押し殺して生きてきた。
転機が訪れたのは子育てに追われていた28歳の時。偶然手にした雑誌で、被虐待児を描いた漫画を読んだ。同誌の体験手記募集に応募し、掲載された自身の体験談に漫画原作者の声が寄せられていた。
「あなたは悪くない!」。 加害者への怒りを初めて自覚できた瞬間だった。
その後、2003年には自分の身を守るための智恵と実践を学ぶ女性グループ「リアライズYOKOHAMA」(http://realize-yokohama.jp/)を発足。各地でWEN-DOの普及を中心にワークショップを行っている。「WEN-DOは、武道の心得がまったくない方でも実践可能。幅広い層の女性に興味をもって頂けたら」(橋本さん)。
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