「横浜マイスター」や「卓越した技能者」に選出されている帯仕立て職人、深谷町在住の水守康治さん(77)が6月23日、マスクを200枚横浜市に寄付したとして林文子市長から感謝状が贈られた。水守さんは「自分にできることをやっただけ」と控えめに語る。
帯仕立て職人として50年以上の経験を持つ水守さんは、厚生労働省の「卓越した技能者」、通称「現代の名工」に2014年選出。横浜市が選ぶ優れた技能者「横浜マイスター」にも認定されるなど、深谷町の地で第一線で活躍し続け、15年には「黄綬褒章」も与えられている。
寄付したマスクは、そんな水守さんの職人としての技を凝らした逸品だ。マスク製作は4月に横浜マイスターを支援する「NPO法人横浜マイスター友の会」の石川昇事務局長から「市内企業の社長がマスクがなくて困っている」という話を受けたのがきっかけ。同時期には呉服業者などが休業しており、帯づくり依頼が激減していたこともあり「お金儲けではなく、誰かが欲しいというのなら協力したい」と快諾。必要とされる人への寄付のほか、採算度外視の販売も開始。これまでに1000枚超のマスクを仕上げてきた。
随所に名工の技
「もらってうれしいものを」というこだわりから、生地にはマスクでは使用されることのない肌じゅばんの良質なものあえて選択。三層構造で、長さ12mの帯生地から作られるマスクはわずか36枚。帯づくりと同様に布地の収縮等を抑える地詰め加工を施し、折り目をつける熱加工など一切の妥協をせずに仕上げる。石川事務局長は「肌触りがよく、口元の空間も適度なため、夏場でも呼吸がしやすい。追加購入があるなどリピーターも多い」と話す。
市への寄付は5月中頃、医療・福祉・介護・保育等で働いている人に向けて行ったもの。水守さんは「少しでも手助けになれば」と話し、「職人としてできることをする。今までも、これからもそうです」と静かに語った。
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