市は独自に市内の分娩取扱施設に出産費用に関する調査を実施し、結果を公表した。多くの妊産婦が出産育児一時金では費用を賄えていない現状に「出産費用ゼロ」を公約に掲げた山中竹春市長は「一定の自己負担が生じていることが把握できた。どのような支援が必要かを検討したい」とした。
市が調査対象としたのは、市内53カ所の分娩取扱施設で、横浜労災病院(港北区)などの公的病院をはじめ、診療所や助産所も含む。出産時に共通して負担する入院料や分娩料など11項目を「基礎的費用」として定義し出産費用を算出した。
51施設の平均額は54万8224円となり、国が今年4月に42万円から50万円に引き上げた出産育児一時金では賄いきれていない現状が明らかになった。最も安価な施設が42万1000円だったのに対して最も高額な施設は70万9000円と、費用に大きな差があることも分かった。
これに対して市の担当者は「県内でも都市部という点や各施設での分娩に対する考え方、経営費用の差なのではないか」と推測している。一方で、11の公的病院に限定すると約46万円から約58万円と費用の幅が小さかった。
2022年中の市内の第1子の分娩件数は全体で1万9310件(正常分娩のみ)だった。そのうち基礎的費用が50万円未満だったのが2231件(11・6%)。1万7079件(88・4%)で、費用負担が生じていることが分かる。なお、無痛・和痛分娩料、立ち合い出産費用などは基礎的費用に含まれていない。
子育て世帯へ調査も
市は今回、子育て家庭に向けて出産に関する経済的負担感を問う調査も実施した。結果、全体の84・5%の世帯で「経済的な負担を感じる」という実態が明らかになった。世帯収入別でみても、全ての層で半数以上が負担を感じていることが分かった。負担が大きいと感じた費用については「分娩時の入院・分娩費」が最多。「ミルクやおむつなどの消耗品」と続いた。
市の担当者は「調査結果をさらに分析し、経済的な負担を軽減できるよう、必要な支援を広く検討していく方針」と話している。
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