ラグビーの競技人口が減少している一因には、中学校進学を機としたラグビー離れがある。中学生がラグビーを続けるには部活動のある一部の学校に進学するか、クラブチームなどに入る必要がある。だが、市内の中学校でラグビー部があるのは私立も含めて約10校で、人数不足の学校もある。また、公式のクラブチームは市内に4つのみで、練習日は週末がほとんど。練習環境が限られていることが、ラグビー離れにつながっているのではないか。
そんな中、「練習できる環境を増やしたい」と3年前に横浜国立大学ラグビー部が主体となり小、中学生向けに開設したのが「YNSUラグビー教室」だ。楽しみながらラグビーの練習をする事を目的に週2日教室を開いている。「利用可能な施設や、練習できる時間を増やし、環境を整えれば競技人口が増えるのでは」と同部監督で教室代表を務める稲口和也氏は話す。
一方、桐蔭学園高等学校のラグビー部、部長兼監督の藤原秀之氏は「少子化の今、必要なのは競技人口を増やすよりも、一人の子が複数のスポーツを続けられる環境を整備する事が重要」と指摘する。ラグビー大国のニュージーランドでは夏はクリケット、冬はラグビーというようにシーズンによって違うスポーツをする文化が根付いている。「この考え方や体制を日本で広める事も、今後人気が出るひとつのきっかけになるのでは」と藤原氏は話す。
横浜が決勝の地に
現在イングランドで開催されているラグビーW杯。1次リーグで日本代表は、格上の南アフリカ代表などを相手に3勝を挙げ、世界中を沸かせた。日本のラグビーの歴史を塗り替えるこの快挙を機に、連日メディアでラグビーの情報が発信されるなど、国内でも盛り上がりを見せている。
横浜市でも2019年のW杯に向け、「ラグビーワールドカップ2019を成功させる横浜市会議員の会」が9月25日に設立され、28日には横浜国際総合競技場(日産スタジアム)が決勝戦の会場に決定した。日本でのW杯初開催成功に向け、動き始めた日本のラグビー界。人気再燃の兆しも見えてきた。
(了)
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