社誌によると、久末神社の創建年代は不明ながら、江戸時代には神明宮と称してすでに久末村の鎮守だった。明治3年5月に村社に列格、明治42年10月に稲荷社をはじめ杉山神社二社、面足明神社、十二天社、道祖神を村社内に合併して久末の総鎮守となった。
神社で火災が発生したのは2013年10月。例大祭の宵宮の夜だった。当日は風が強く、火は瞬く間に燃え広がり、社殿と社務所が全焼。例大祭の前日だったこともあり、大人と子どもの神輿、お囃子の道具も神社に置いてあり火事で失った。
地域にとって特別な場所の焼失に、「いち早く再建を―」という声がすぐにあがった。神社総代や奉賛会は同年12月に再建委員会を設置し、再建に向けて動き出した。
地元などから多大の寄付金が集まり、金銭的な道筋は見えた。目標は1年後の例大祭までの再建。境内の拡張も盛り込み、順調に計画が進んでいたかに見えた。しかし、市街化調整区域であることなどがハードルとなり、手続きが難航。計画は遅れ、工事着工のめどが立ったのは2015年になってからだった。
そして昨年から始まった再建工事。3月に起工式、8月には上棟祭が行われ、日に日に完成に近づく様子に地元の期待も高まった。そして年末には仮殿に祭られていた御神体を再び迎える「本殿遷座祭」が執り行われた。
再建された社殿は木造、地上一階建ての神明造り。床面積は38・59平方メートルで建築面積は54・30平方メートル。高さは6・73メートルとなる。
社殿内部の幣殿中央部の床板や八脚には、伊勢神宮の式年遷宮で解体された古材「御用材」が使われている。関係者は「由緒ある伊勢神宮の御用材を頂くことができ、本当にありがたい。火災での焼失は不幸だったが、この再建が久末に “福”をもたらしてくれると信じている」と新社殿の完成を喜んだ。
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