「歩行者優先なのに、サイクリングコースという名称をやめてほしい」「保育料の日割り計算ができると聞いたのに、説明が間違いだったと言われ1カ月分請求された。納得いかない」。市政に対する市民からの苦情は多岐にわたる。そうした声を聞き客観的に調査してきた「川崎市市民オンブズマン制度」が今年、30周年を迎えた。
1990年に川崎市が全国の自治体に先駆けて導入したこの制度は、市民からの苦情申し立てを受け、弁護士や大学教授など地方行政に詳しい市民オンブズマンが一つひとつ案件を調査。改善すべき点を市に勧告する。節目の年に代表市民オンブズマンを務める富田善範さんは「苦情というとクレーマーの印象が強いが、何らかの原因があるから申立てがある。市にとって違反でなくても、市民サービスの在り方として問題があると伝えると改善されることも多い」と活動意義を話す。
きっかけはリクルート事件
制度導入のきっかけは、88年に世間を騒がせた贈収賄事件「リクルート事件」。川崎市助役が関わっていたこともあり、市内では第三者の立場から行政に物を言える機関が求められていた。89年の市長選で市民オンブズマン制度を掲げた高橋清氏が当選し、導入に至ったという。
今年、30周年を記念して作られたポスターには、メガネをかけたゾウが描かれた。大きい耳で市民の声をよく聴き、視力のよい目でよく見ることを表現している。「1件の苦情の裏に同じ気持ちを抱えた人がたくさんいる。市職員から業務を見直すきっかけになるという声もあり、非常にやりがいを感じている」と富田さん。
市民オンブズマンは月1回各区役所を回り市民の声を直接聴いている。詳細は同事務局【電話】044・200・3692。
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