市政報告vol.38 「伸び」が評価され児童生徒・教員共に頑張りが報われる新学力調査の導入を 川崎市議会議員 末永 直
文科省が7月31日に公表した今年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で川崎市の正答率が、多くの教科で全国平均を上回った。朗報だ。
全ての子どもがわかることを目指して、きめ細やかな指導を充実させることは重要だ。私は、いずれは「全ての子どもがわかる」とともに「習熟の伸びを分析し、共有でき、教員の資質向上につながる」取組が必要だ。
過日、調査活動として参加した「New Education Expo 2018」(江東区有明にて)で、埼玉県教育局職員による講演「埼玉県学力・学習状況調査を活用した学力向上〜子供たち1人1人の学力の変化と非認知能力などの把握」を聴き、いたく感銘を受けた。IRT(項目反応理論)やパネルデータ等を駆使して、小4から中3までの「同一児童生徒の学力等の伸びを把握できる全国初の調査」取組についてだ。
例えば、50メートル走で、7・5秒で走ることを目指した場合に、生徒Aは最初8・5秒で最後7・6秒。生徒Bは最初7・0秒で最後7・4秒。タイムは生徒Aが生徒Bより遅いが、生徒Aの方が0・9秒伸びており、教育的効果が高い。本調査ではこの「伸び」に着目してその要因を明らかにする点にある。
埼玉県では毎年集約される約90万人分のビッグデータを分析し事業実施に活用する。家庭の経済状況などから学力に課題が見られる児童が多い学校を重点支援したり、教員の良い指導方法などを一元化して共有できる「学習支援カルテ」を作成し、児童生徒一人ひとりに適した指導改善への支援を実施しているとのことだ。
私は6月26日これを取り上げ、議場で質問した。市長は「初めて認識した」とのことで、教育長は「教育評価において大事な視点」と受け止めていただいた。本市への導入にむけた課題等について、教育次長からは「費用等の実施条件も含め、様々な課題があると考えるが、導入している自治体の取組などについて、調査研究したい」との答弁を得た。これからが肝心だ。
ここで取り上げたIRT等を用いた新方式の学力調査手法は、モデルとして他都市でも次第に採用されつつある。本年度は広島県福山市が、来年度は福島県全域で実施するとのことだ。
頑張った子も、頑張った先生も、そして、これから頑張ろうと思う方がすべて報われる社会への一助になればと願う。
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4月26日
4月19日