市政レポートNo.108 幼・保無償化も!?増す地方負担に透ける”地方創生”の正体とは? みらい市議団・川崎市議会議員 おしもとよしじ
政府は、10月から実施する幼児教育・保育の無償化の必要財源を当初8300億円と見込み、その半分以上を市町村に負担させる原案が示された所、全国市長会が「国が恒久的に全額負担すべき」と反対姿勢を強め、費用負担を巡った交渉が混迷を極めました。
この無償化については、我々も待機児童解消を図った上で、実現する旨の政策を掲げて参りました。但し、本来なら、総選挙の争点として消費税率引き上げによる社会保障費用の拡充を問うた政府が財政面も含めて責任を持つべきで、地方自治体にその政策実現の負担を押し付ける姿勢は筋違いであり、この全国市長会の主張は、至極当然です。これら意見を踏まえ国も譲歩し、地方負担を約1千億円軽減する内容で決着しましたが、本市の持続可能な行財政基盤構築の指針となる「収支フレーム」には、この財政負担が想定されておらず、将来に渡る影響は不可避な状況です。本市試算によると、無償化実施に伴う本市負担額は、運営費で年間約26億円、支払事務等のランニングコストも年間約4億円程度の支出を見込んでいます。
負担の押し付けは、今に始まった事ではありません。それが“地方創生”です。大都市の責務として趣旨は一定理解しますが、本来税収となる法人市民税の一部が国税化され、交付税の原資として他自治体へ分配される事は、“ふるさと納税制度”同様に本市にとって大変憂慮すべき事態です。(※前述の収支フレームでは、今後70億円を超える減収見込み、ふるさと納税も今年度当初予算で40億円超の減収見込み)税源培養に努力する自治体が報われない制度であり、議会で見解を質された市長も「国税化により、本市の取組成果が一部とは言え奪われ、(中略)地域ごとの取り組みや活性化への意欲を削ぐことに繋がりかねず、地方創生の趣旨にも反する」と懸念を示しています。
思い起こせば4年前、多数貼られた『地方こそ、成長の主役。』のフレーズと安倍首相のポスター。政権が進める地方創生を前面に出したものでした。当時、見る度に本市財政への影響を危惧して止まなかったのは、私だけではないはずです。今一度、地方及び大都市にその財源を押し付ける税制の在り方を見直すべき時期が来ているのではないでしょうか。
市議・押本吉司
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4月26日
4月19日