市政報告 資源物の抜き取りについて(上) 川崎市議会議員 松原しげふみ
私が議会で資源物(特に空き缶)について初めて質問を行ったのは、平成18年9月の決算審査特別委員会に於いてでありました。質問と答弁の内容を要約すると次のようになります。質問「川崎市では他都市に比べホームレスの方への就労支援等の対策を積極的に取り組んでいるが、空き缶集めの実態についてどのように把握しているか」―答弁「多くのホームレスが空き缶拾いで得た収入で生活していることは認識しているが、その実態については把握していない」。質問「認識しているだけでは、いつまでたっても問題の解決にはならない。ホームレスを含め様々な人の人権問題があり、地域の住民の人々はより良好な生活環境の中で暮らす権利がある。この問題を最終的には何年度までにどのように解決する予定なのか。具体的な取り組みについて中期的、長期的な展望を伺う」―答弁「国の動向を見据えながら就業の機会や安定した居住の確保に努め、保健及び医療、生活に関する相談や指導等の総合的な自立支援を講じてまいりたい」、との答弁にとどまりました。
資源物の持ち去り・抜き取りは、平成10年ごろから市の北部地域において、当時使われていた空き缶収集容器からアルミ缶を無断で回収する業者と思われる車輌が見受けられたことから、警察機関と協議の上、空き缶収集容器に警告ポスターを貼り付け、町内会に要請するなど防止策を講じてきました。平成13年ごろからは個人による持ち出しが見受けられたことから、市内すべての空き缶収集容器に警告ポスターを貼り付け、新聞報道による抑止対策を行うとともに、市民や収集職員からの情報提供に基づき、悪質なケースについては指導が行われてきました。また当時の個人の持ち出し・抜き取りについては、時代背景が大きく影響しており、バブル経済の崩壊による景気の低迷や終身雇用制度の見直しなど社会経済環境の変化、一方で古紙やアルミ缶など再生資源の需要が高まっていることなどが起因すると考えられていました。これらの行為に対して市民からは電話やメールなどで、缶をつぶす音やごみの散乱などによる苦情が寄せられ、その対応として地域を所管する生活環境事業所の職員によるパトロールの中で、個別に指導するなどの対応が図られました。また答弁では、「個人の持ち出しについては社会的な背景が大きく影響しているので、慎重な対応につとめてきた。条例化については様々な課題があるので、それぞれの課題に焦点を絞り、1つずつその課題に向けた検討を進める事が、結果として現状の改善につながるものと考えております。今後とも関係部署と連携を図り、対応について検討をしてまいります」と答えられました。
その後、平成24年の決算審査特別委員会での私の質問に対し、環境局長は「ごみの持ち出しについて、一昨年に条例化した京都市、また本年5月に横浜市が条例化しており、こうした過程の中で社会的弱者の生活の糧を奪う可能性などについて議論がなされている。したがって今後持ち出しの効果的な防止策を検討していく中で、他都市の事例などを十分に研究しながら、法の専門家、関係局、関係機関と十分協議を重ねていく」と答えていました。平成25年の決算審査特別委員会での私の質問に対する答弁は、「できるだけ早期に方針を定めたい」。令和元年12月の第5回市議会定例会での私の一般質問に対する答弁は、「条例化などの有効な方針を検討したい」との解決に向けた踏み込んだ答弁を得る事ができました。
本市で条例化が進まない要因として、人権擁護の課題があります。これから年越しを迎えるにあたり生活困窮者に対し、宿舎、食事の提供や保険医療を確保などの越年対策事業の取り組みも必要であり、就労支援も忘れてはなりません。参考までに、全国20政令指定都市のうち15の政令市で資源ごみ持ち去り禁止に関係する条例等が制定されており、制定されていないのは本市を含め5市となっております。令和2年12月議会で資源物の抜き取りについて質問いたしましたので、本紙1月1日元旦号にて引き続きご報告いたします。
松原しげふみ
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4月26日
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