市政報告 資源物の抜き取りについて(下) 川崎市議会議員 松原しげふみ
昨年の本紙12月25日号に引き続き、資源物の抜き取りについてご報告いたします。前号では、この問題についての議会質問に対して、市当局の検討状況について報告しました。要約しますと、平成18年は資源物の抜き取りについて「解決に向け検討を進める」、平成24年は「他都市の先行事例を研究し検討を深める」、平成25年は「出来るだけ早期に方針を定めたい」、令和元年は「条例化などの有効な方策を検討してきたい」との市当局の考えが示されました。引き続き、私は令和2年12月議会に於いて次のような質問を行い、当局の答弁を得ました。質問「ホームレスの方々を支援している個人、団体について確認されていれば支援内容を伺います」―答弁「市内では複数の団体がホームレスへの支援を実施しており、その内容は居住場所への定期的な巡回による生活相談や健康相談、食事の炊き出し及び衣服、日用品の配布などです」。質問「抜き取りについて支援団体との協議、話し合いが進められているようですが、課題(抜き取り)の解決はいつ頃になるのか」―答弁「より有効な方策を実施していくため、条例化も視野に入れ庁内関係部署との協議やホームレス支援団体などから意見を伺っており、年度内に基本的な方向性等を示すことができるよう取り組みを進めている」との答弁がありました。
行政のホームレスへの支援のみならず、民間の支援団体の方が昼夜を問わず長きにわたり支援活動に取り組まれている事に対し、心より敬意を表します。抜き取りについて、支援団体の方は「たくさんの仲間が集まり、缶集めの苦労や住民との協力を話せば、もしかしたら『持ち去り禁止条例』は作られないかもしれない。少ない可能性でも諦めるな。行政と議員には『文句を言う』住民しか見えない」とし「問われているのは野宿生活者ではない。行政と議員の地域戦略である」と言われております。支援団体の方とホームレスの方の意見は尊重しつつも、私は現状を改善していく事が行政と議員の務めであると考えておりますので、空き缶の持ち去り行為により収入を得ているホームレスの方々と支援団体の方には持ち去り防止対策の必要性についてはご理解をいただきたいと思いますし、ホームレス、生活困窮者支援を行う福祉関係部署と連携しつつ資源の有効利用や廃棄物の適正処理についても重ねてご理解をいただきたいと思います。
12月議会では参考のために次のような質問もいたしました。質問は「空き缶の持ち去りについて空き缶を持ち去る個人を訴える事ができるのか、市を訴える事ができるのか」という内容で、これに対する市の答弁は「本市におきましては、集積所に排出された資源物等は市が収集するまでは排出者である市民に、また収集した以後は市に所有権が帰属すると考えており、集積所に出した資源物等を市民が持ち去られた場合や、マンションなどの私有地に正当な理由がなく、立ち入られた場合などは窃盗罪や軽犯罪(窃盗罪刑法第235条、業務妨害罪刑法第233条、軽犯罪法第1条第1項第32号)が成立する可能性はあると考えております。また住民監査請求につきましては、集積所に排出された資源物等については市に所有権はないものと考えておりますが、当該案件が地方自治法に定める要件を備えていると監査委員が判断した場合に監査の対象となり、監査結果に不服がある場合には、住民訴訟が提起できるものと考えております」との答弁がありました。
前号での報告において、全国20の政令市の中で資源物の持ち去り関連の条例等が制定され施行されているのは15政令市と申し上げましたが、千葉市では罰則が付されており、命令に違反した者は20万円以下の罰金に処するとしており、横浜市・相模原市・札幌市に於いても同様であります。また名古屋市や岡山市では5万円以下の過料に処するとしています。
いずれにいたしましても、本市では資源の有効活用や適正処理の推進に向け有効な方策の必要性については市民の皆様にご理解をいただけるよう取り組みが進められており、年度内に基本的な方向性が示されます。その後パブリックコメントも行われる予定でありますので、問題解決のため多くの皆様にパブリックコメントに是非ともご意見を寄せていただきますようお願いいたします。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
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4月26日
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