市政報告 全体の奉仕者の公務員不祥事の連鎖を断ち切れ!! 川崎市議会議員 松原しげふみ
憲法第15条には「すべての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定められています。また本市の一般職員に採用されるにあたり、「職員の服務の宣誓に関する条例」に従い「わたくしはここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、かつ擁護することを固く誓います。わたくしは地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います」と宣誓し、署名をいたします(教育公務員、消防職員、地方公営企業職員は別途宣誓、署名)。職員は川崎市民全体の奉仕者として、誠実、公正に職務を執行することが責務であり、常に高い倫理観や遵法意識が求められている事を自覚し、市民の信頼に応えなければなりません。しかし、今年度に入り、事務執行ミスや、事件・事故が相次いで起こっており、市民の信頼を著しく損なう事態となっています。この状況を鑑み、過日市長名で公務員倫理に関する通達が発せられましたが、その後も止まらず、総務企画局は「危機的状況」であるとして、再発防止に向け、服務規律の確保について徹底するよう指導・研修を行うとしています。とは言うものの、不祥事が起こるたびにその対策として、事実確認を行った上で、「チェック体制の強化」「再発防止に向けた指導・研修」「適切な執行の管理」「運用面の見直し」「再教育の実施」等の取り組みが行われてきましたが、再発防止に結びついておらず効果をみることができません。この現状を厳しく戒め、猛省を求めたく、あえてこれまでの不祥事及び事務ミスを時系列で列挙させていただきます。(日付は報道発表日)
▽令和2年4月24日、上下水道局
病気休暇中、自宅で飲酒、その後自家用車を運転し民家の門柱、塀、電柱等、計5カ所に衝突。45歳男性→免職
▽4月24日、こども未来局
母子父子寡婦福祉資金償還金4月分の口座引き落としについて手続きに不備があり、4月27日の引き落としが間に合わなくなった事が判明
▽5月1日、教育委員会
市立橘高等学校全日制定時制課程に於いて、校内ネットワークサーバーがランサムウェア型のコンピューターウイルスに感染している事が判明(前年10月28日にも同様の事案発生)
▽5月1日、麻生区役所
令和2年3月5日から現在に至るまで、その所在を不明にし、長期間勤務を欠いた。→48歳男性免職
▽5月12日、こども未来局
幼児教育、保育の無償化に係わる関係書類を申請者に送付する際、誤った宛先に発送した事が判明
▽5月21日、交通局
自賠責保険が失効しているにもかかわらず、自宅から通勤を繰り返した。また、車検証が期限切れとなっている事に気付いていながら、通勤に使用していた→28歳男性停職1カ月
▽5月27日、教育委員会
市立小学校教員は住居侵入の疑いにより、同日午後1時5分頃県警多摩警察署に逮捕される→26歳男性停職3カ月
▽6月12日、教育委員会
市立小学校の35歳男性教員は帰宅途中飲酒をした後、翌未明バス停で寝てしまい児童の個人情報の入ったリュックサックを紛失
▽6月15日、中原区役所
個人情報が記された乳幼児の「健康診査受診票」「妊婦健康診査用補助券」の控えの一部を紛失した
▽6月16日、宮前区役所
高津区在住のA氏の国民健康保険料を誤って平成25年度から宮前区在住のB氏の口座から引き落としていた事が判明
▽6月18日、健康福祉局
女性市民の方を対象に、骨粗しょう症検診を実施しており、6月15日に発送した特定健康診査受診券に同封のリーフレットに於いて、対象年齢の誤記が判明。原稿作成時、またその校正時にも誤りに気付かなかった
▽6月24日、川崎区役所
市民の方から児童手当が令和2年2月支給日に口座への振り込みがないとの指摘があり調査した所、請求書類及び添付書類の紛失が判明
▽6月24日、健康福祉局
市政だよりに掲載した「後期高齢者医療保険のお知らせ」に於ける「保険料の軽減割合の変更」の記事の中で内容に誤りがある事が判明
▽6月25日、高津区役所
個人番号カード(マイナンバーカード)の受領のため来庁したA氏のカードを発行する際、カードが所定の場所に見当たらず誤廃棄した事が判明
▽7月3日、経済労働局
市認定業務で使用する専用公印が無いことに職員が気付き、誤って溶解、廃棄した事が判明
▽7月3日、こども未来局
4月24日の母子寡婦福祉資金償還金の再引き落としについて、6月分の引き落としに合わせて4月分の引き落としを希望した107人の方について4月分の引き落としができない事が判明
▽7月6日、交通局
46歳女性職員は原付自転車に追突し運転者を負傷させ、直後に急ブレーキをかけたため、バス車内の乗客を負傷させた。また停車していたバスの右バックミラーに接触し破片が飛び、細かな傷を付けた→戒告
▽7月10日、上下水道局
同局の男性主任職員55歳は偽造した決裁印を使用し、市民から提出された書類約400通に押印するなどし、勝手に決裁していた。市は県警と相談した上で「刑事告訴」も検討している
▽7月15日、多摩区役所
60歳男性職員は、通勤の電車内で見かけた女子高校生に好意を持ち、その後週1〜2回、計10回程度通勤時の車内でつきまといや駅ホームで待ち伏せを行った為警察に同行を求められ、ストーカー行為等の規制の法律の規定に基づき警告された→停職1カ月
市長は6月の定例記者会見で「不祥事が続き市民にお詫び申し上げたい」と謝罪し、事務処理のミスについて「市政そのものの信頼を損なう大変に憂慮する事態」であるとし、一連の事象を重く受け止めています。多くの公務員が真面目に公務を執行している中、一部の公務員の不祥事やミスが全体の奉仕者としての公務員の信頼を失墜させております。
私は平成26年11月28日号の本紙タウンニュース紙に「これでいいのか教育委員会、なぜ止まらぬ教職員の不祥事」を寄稿しました。さらに平成29年1月1日号の本紙に「打つ手はないのか、教育委員会、止まらぬ教職員の不祥事」を寄稿し、公務員の綱紀粛正と信頼回復を強く訴え、行政側もそれに応え、「再発防止」「執行管理の徹底」「周知徹底」「チェック強化」「研修勉強会実施」「厳正な対処」「事実の検証」等の号令をかけ、対策に取り組みましたが、残念ではありますが結果として今日に至るまで改善ができない状況となっています。
また、川崎市では「川崎市内部統制基本方針」が制定され、本年4月には「コンプライアンス推進室」が設置されました。この趣旨は「市民の市政に対する信頼の維持及び質の高い市民サービスの継続的かつ安定的な提供に寄与するため」となっており、事務の管理や執行が法令に適合し、かつ適正に行われることを確保し、本市の財政的損失の発生や信用失墜の防止を図ることを目的としています。以上のような取り組みが始まった矢先の不祥事、ミスの連鎖となっています。
規模が大きくなった今日の川崎市に於いては不祥事を万全かつ完全に防ぐことは至難の業です。今後、的確に対応改善を行う為には一過性ではなく継続的に見直し改善を図るかに掛かっています。私案ではありますが、「川崎市職員不祥事防止対策会議」を設置するとともに、外部有識者の助言もいただきながら不祥事を起こさない体制を整え、市民の信頼のもとに成り立っている川崎市の信頼を取り戻し、不祥事の連鎖を断ち切るべく早急に対応される事を求めてまいります。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
TEL:044-751-8855
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4月26日
4月19日