令和元年秋の褒章で黄綬褒章を受章した 内田 良隆さん 市内上和田在住 67歳
神は指先に宿る
○…(株)東芝でテレビ、パソコン、電子レンジ、冷蔵庫など家電の製造ラインに約半世紀携わり、「この道ひとすじ」の職人などを称える黄綬褒章を受章した。「上司や仲間のおかげで、非常に感動している。今後は技能を次世代につなぐため、若手の育成を一層頑張りたい」と喜びを語る。
○…製品の品質に誤差のないよう、製造順を考案し、組み立てのマニュアルを数多く作ってきた。頼りにしたのは、機械ではなく自身の指先の感覚。「工程中にわずかでも段差があると製品に傷がつく。直接指で触ってズレを突き止められるかが腕の見せ所。この感覚が身に付くまで20年かかった」と武骨な手指に目をやる。
○…幼少の頃から、飛行機や戦車のプラモデル作りに熱中する「組み立て」好きな子どもだった。中学卒業後、東芝の技能訓練生としてものづくりの世界へ。30代ではドイツやアメリカに渡り、現地の指導にあたった。「言葉が伝わらないときは、漫画を描いて理解してもらった」と懐かしむ。磯子の工場に戻り指導者の立場になると仕事漬けの日々。朝7時、部下に指示する段取りを考えることから始め、午後10時まで働いた後は日付が変わるまで同僚と盃を交わした。「とにかく仕事が大好き。仲間と楽しく酒を飲んで寝れば、疲れなんて飛んで行く」。それが「俺の働き方」だった。
○…現在は第一線を退き、酒の相手も同僚から妻へと変わったが、エネルギーは衰え知らず。自宅周辺で活動する強豪ソフトボールチーム「泉マックス」で腕を振るい、60歳で始めたゴルフもスコア85で回る。それでも何にも変えられない喜びは、やはり仕事。「75歳までは働きたい。職人気質は抜けないね」と目を輝かせた。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>