「隣人」への想像を 連載「つなぐ」毎号掲載終え
▼東日本大震災の発端となった巨大地震発生以後、3月24日号から毎号、11回にわたり、連載「つなぐ」を掲載した。連載では、震災に関わる様々な人を紹介した。戸塚区と被災地は近くはない。だが、大災害によって大切なものを奪われ、嘆き苦しむ人々に読者とともに心を寄せたいと思い、企画した。支援者、被災者の「顔」が見えるようにと、対象者の活動内容だけでなく、そこに至る経緯や思い、展望を書いた。
▼連載を通し見えてきたキーワードは「無理なく継続」。社員の家族が被災した車販売会社の金子健一郎社長(50)(下倉田町)は、今も被災地へ物資を送り続けており、「1、2年と区切らず末永く支援したい」と話す。飲食業「エイト」(名瀬町)の近藤一美社長(37)は被災地や横浜で復興支援イベントを開催した。地震発生半年後のイベント開催も検討しており、継続した支援をしていく考えだ。また、川上地区連合町内会が取り組む節電モデル事業の中心メンバー、高嶋威男(たけお)さん(66)は、地元にいながら無理せず継続してできると節電を訴える。被災地へ物資を送る主婦団体「猫の手とつか」の代表、宇野利江子さん(34)(戸塚町)は「私は子どもがいるから被災地には行けない。でも、継続してできることはある」。
▼一方で、被災地から身を寄せる人が戸塚区にもいる。区によると、区へ申請している避難者は19世帯、48人。実際にはもっと多いのでは。連載では被災者2世帯を取材したが、ともに生活の見通しは全く立っていない。「故郷に戻りたい。でも、ずっと戻れないのでは…」。願い、諦め、様々な感情が交錯する被災者からは、震災の現実が突きつけられ、やりきれなくなる。
▼「私も福島出身。友達になれないか」。戸塚町へ移住した秋山政三(まさみ)さん(76)を取り上げた記事を読み、高齢の女性から編集室へ電話があった。親族、友人と離れた秋山さんを思っての行動だろう。「私も何かしたい」「支援団体を紹介して」。記事掲載後、読者からの問い合わせで、改めて区民の切実な思いを知ることができた。地震から間もなく4ヵ月。日々過ごす中で、すれ違う人が不安の中で生きているかもしれない―。時は経っても、そういった「となりの人」への想像を持ち、自分にできることを考え続けるべきではないか。そんな問いかけを胸に突きつける連載となった。
(庄部 勇太)
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4月18日