昨年5月に山北町内で撮影され、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式招待された黒沢清監督作品『岸辺の旅』が、現地時間の23日(日本時間24日)に監督賞を受賞した。ロケ地”YAMAKITA”で、喜びの声と撮影時のエピソードを取材した。
「この結果を心待ちにしていた」-。そう話すのは山北駅前通り「丸善露木商店」の露木隆丸さん(59)。昨年5月の撮影では、店のレジ前で女優の深津絵里さんと共演。ロケ弁当の注文も受けた。
「深津さんと一緒にレジからお金を出す練習をした。『緊張しませんね』と声をかけられた。楽しい経験をさせてもらった。カンヌへ出品することをスタッフから聞き結果を楽しみにしていた」と、興奮冷めやらぬ様子で話した。
スドウ薬局の須藤啓さん(64)は「新聞配達を生業にする初老の男性」を演じる俳優・小松政夫さんとのエピソードを語った。
バイクに乗る撮影が続き手首を痛めた小松さんがふらりと薬局にやってきた。そんな小松さんの手首に冷たい湿布をあてた。「いや〜気持ちいいね〜」と喜ぶ小松さんにマッサージもした。「そこに座りながら気さくに話してくれた」と陽気に語った。
田中屋肉店の瀬戸義信さん(49)は「餃子を作るシーンやすき焼きを食べるシーンがあったらうちの食材」と笑顔で話し、人手が足りない時には照明係りとして撮影に参加したという。
製作会社(株)オフィス・シロウズのプロデューサー押田興将さん(45)は「山北の皆様にはとても良くして頂いた。駅前通りや体育館、鉄道公園など黒沢監督も気に入っていた。山北は本編でも重要なシーンになっている」と話す。
映画は10月1日公開。失踪から3年が経ったある日、夫(浅野忠信)が突然、妻(深津絵里)の目の前に現れ、3年間で世話になった人々を訪ね旅に出る物語。
作品の撮影は山北町で始まり、町内での撮影は約2週間続いた。本編では山北駅前通りのほか鉄道公園や住宅地、JR御殿場線「谷峨駅」も登場し、谷峨駅のシーンはカンヌ国際映画祭公式サイトのフランス語プレス資料に掲載されている。
山北町の湯川町長は「山北で撮影した作品が国際的な賞を受賞されとても嬉しい。黒沢監督に心からお祝い申し上げたい。映画を観た人が町内のロケ地を巡ってもらえたら嬉しい」と喜びを語った。
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