コラム「学校と社会をつなぎ直す」【9】 求められる子どもの主体性(1) 桐蔭学園理事長 溝上慎一
コロナ禍を通してオンライン教育を含めたハイブリッドな学びが進む。この流れは、子どもにこれまで以上の主体的な学びを求めるものである。今回は(1)としてまずこれまでの流れを整理する。
学校の学習活動の多くは、子どもの興味・関心に基づいて作られるものではなく、大人が子どもに与えるものである。子どもにとって「与えられる」枠組みの中で、自ら進んで課題に取り組む主体性が求められるところに学校教育のトリッキーな特徴がある。子どもは自らの興味や関心に基づいて教材や課題を選ぶことはできないが、与えられる教材や課題の中で、個人の興味や関心を見出すことが求められる。社会的な存在として生きていく子どもにとってこれは現実である。決して悪いことではない。
近年「与えられる」枠組みの中での主体的な学びが加速して求められるようになっている。探究的な学習(総合的な学習の時間)は、その1つである。説明される知識を理解する、与えられる問題を解くということではなく、子ども自らが課題を主体的に発見・問題解決することが求められている。探究的な学習に取り組みたくないという選択肢は子どもにはない。新学習指導要領の主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)も同様である。教科学習の「与えられる」枠組みの中で、「書く」「話す」「発表する」といった子どもの主体的な活動が求められているのである。 ((2)へ続く)
|
|
|
|
|
|