港北区災害時要援護者支援 個人情報同意 4割に留まる 認知度不足も一因か
東日本大震災後、これまで以上に災害時の地域での助け合いに関心が高まる中、自力で避難できない人を自治会町内会で助ける「災害時要援護者支援事業」が、横浜市でスタートして今年で5年目を迎えた。港北区内の現状を探った。
この事業は、災害時に自力避難が困難な要介護高齢者や障害者について区が保有する個人情報のうち、本人の同意が得られたものを自治会町内会に提供し、地域ぐるみで手助けをする。自治会町内会は情報提供を受けるために区と協定を結ぶが、締結にあたっては要援護者の情報が記載されたカードの作成・保存や、個人情報管理の研修などを受けることになる。締結後、自治会町内会は提供された情報(名前・住所・電話番号)を基に、対象者宅を訪問し、在宅の時間帯や避難時の留意点などの情報を追加、平常時から見守りを行う。
港北区内では153自治会町内会のうち90団体がこの協定を結んでおり、市内の平均締結率約50%に比べると、港北区は58・8%と高い水準を保っている。
区と協定を結んでいない自治会町内会でも、独自で要援護者宅を訪問するなどしてリストを作成し、見守り活動をしているところも多く、区は「独自で取り組みを進めている地域も含め、それぞれどの程度、要援護者を把握しているか実態を調べたい」としている。
新しい提供方式も視野に
一方で、協定締結をしている90自治会町内会のエリアに住む対象者のうち、自身の個人情報の提供に同意している人の割合は、約4割程度と低い。その理由としては、家庭内を干渉されたくないという人や、同事業の内容自体を認知していない人も少なくないようだ。今後、区では広報面などで同意率を上げる工夫をしていく方針だ。
協定に締結していない自治会町内会は、その理由を「現状として締結しているエリアの同意率は半分以下。リストだけ持っていても…」と語る。要援護対象者の中には情報が収集しづらい世帯もあり、民生委員に対応してもらうなどの方法をとっているのが現状だ。
今後は、個人情報の提供を希望しない人へのアプローチが課題となる。市では、同意なしで自治会町内会へ情報が提供できるような方式の導入を検討しているが、条例などの改正が必要となるため、実現には時間がかかりそうだ。
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