今年5月に鳥山町で発生した共同火災での火災で、第一通報では内容が聞き取りづらく、火災と認知できなかったために出場が遅れ、60代女性が1人亡くなっている。今回の事態を受け、高齢者からの聞き取りが困難な傾向としてあることから、市消防局は12月7日、今後増え続ける高齢者を想定し、チェック体制を強化する対応策を発表した。
「聞き取りづらかった」
火災が発生したのは5月11日の早朝。同局によると、出火元居住者の60代女性から119番通報が8時46分に入ったことなどを総合的に判断し、8時45分出火と推定している。通報を受けた指令管制官とのやり取りの中では火災と認知ができなかったため消防隊などは出場しなかった。
では、なぜ認知できなかったのか、その理由について同局は「聞き取りづらい内容だった」とした。指令管制員からの「火事ですか?救急ですか?」との問いかけに対する返答が聞き取れず、その後も聞き直すなど確認のやりとりが続いたが、緊急車両の出場を「いらない」と女性は応え、電話を切っている。しかし、14分後の9時に近隣住民らからの通報で火災を認知。消防隊などを出場させたが、火元の木造2階建てアパートが全焼、隣接する2棟の一部などが焼け、出火元居住者が亡くなっている。出火原因については電気関係、放火、たばこなどが考えられるが立証ができないため不明としている。
確実に聞き取る体制を
市消防局が発表した対応策は、局内の職員を中心に構成された委員会でまとめられたもの。これまでにも高齢者からの通報が聞き取りづらいという事があり、今後の高齢社会の進行を踏まえ作成した。具体的には、「火災・救急等を確実に覚知するために必要な聞き取り要領などを見直す」としている。これは通報内容に疑問が生じた場合に、手順を戻りもう一度聞き直すというもの。加えて、「火傷」や「臭い」などの火災・事故・救急事案を察知するためのキーワード集を作成した。また、統計上119番通報が多くなる時間帯には、あらかじめ勤務する21人の指令管制員全員で対応。一時的に増加した際には段階的に増員する。さらに、今回のように内容の聴取が困難な場合は複数の指令管制員に応援を要請し内容を確認する考えだ。
既に同局では、様々な119番通報事案を想定したシミュレーション訓練を実施。管制官員のスキル向上に努めている。
同局担当者は「市民の安全安心を確保する消防機関としていかなる通報であっても火災・救急を確実に認知することができる体制を組織一丸となって構築していく。また、指令管制員らが円滑に意思疎通が図れるシステムの導入を検討している」と話した。
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