高齢者虐待を防げ 年々増加、区の対策は?
今月19日は「敬老の日」。高齢化社会が進む中、これまで以上に求められるのは、高齢者を様々な形でサポートする体制といえるだろう。そんな中、深刻化するのが「虐待」の問題だ。港北区の現状と関係機関の取り組みを取材した。
港北区では2010年度45件の虐待を確認している。09年度が40件、08年度が32件で、年を追うごとに増加しているのが現状だ。10年度虐待の種類では、身体的が一番多く、被虐待高齢者の年齢・性別は85歳から89歳の女性が最多。要介護3、4と介護認定が高い特徴があり、虐待者は息子が多い(いずれも新規)。分離・保護をしているケースも6件ある。区では「身体的虐待をされているのは認知症の人が多い。介護する人の”介護疲れ”が暴力につながることがある」と話す。
また、経済的虐待も数が多い。親の年金を自分の生活に使用するケースがこれにあたり、「虐待の認識がない人もいる」と区は話している。
地域で見守りを
港北区では警察や医師会、特別養護老人ホーム、地域包括支援センターどで構成される「港北区高齢者虐待防止連絡会」を設置し、年度に3回会合を開くほか、必要に応じて集まり、勉強会や情報共有をしている。こうした動きの背景にあるのは06年国が施行した「高齢者虐待防止法」で、虐待を発見した時の通報義務などを定めており、区でも行政・関係機関のネットワークづくりのため同会を設置している。加えて09年度からは「港北にぎやか支え合い作戦」と銘打ち、高齢者の認知症予防、虐待への対策、介護予防の重要性を訴える総合的な取り組みを推進している。今年度予算は約70万円が計上されており、新規の取り組として虐待の定義や相談窓口を記したポスターを作成、医療機関に配布している。
区では介護者の息抜きが大切とし、同じ悩みや不安を持つ人が集まる有志の会を紹介するなどし、側面からもサポートしている。
「虐待を把握している件数は氷山の一角という認識。手が届かないとところにどうやって手当てをするのか課題も多い。認知症・虐待・介護は密接に関わっており、総合的に対策を取ることにより、減らしたい。区民の皆さんにも現状を知ってもらい、地域の力皆で見守っていくことが大切ではないか」と区では話している。
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