脳血管疾患の後遺症等による障害を持つ人が通う、NPO法人中途障害者地域活動センター「港北根っこの会」が、まもなく設立20周年を迎える。岡本竜夫所長は「この20年間の実績や経験をへて、課題も見えてきた。これからが新たなスタート」と語る。
同会では、脳梗塞や脳内出血などの後遺症を抱える中途障害者をサポート。名刺作りや宛名シール貼りなどの下請け作業、パソコン、スポーツ、地域交流などの活動を行っている。障害の程度も、車いす利用者から部分的な麻痺、言語障害など様々。現在は20代〜60代の中途障害者35人が各々で目標を掲げ、それぞれのペースで切磋琢磨している。
会の始まりは1991年、脳卒中後遺症などの中途障害者が中心となり設立。当時は横浜市内で初、全国でも珍しい取り組みだった。「自分たちが主体となり、働くことを通して社会との接点を見出していくリハビリの場としての作業所をつくりたい」という思いから、”拠点づくり”がスタート。関係各所の支援もあり、高田西に開所した。95年には、市内で第1号となる「中途障害者地域活動センター」として活動を開始、その後2008年に綱島西へ移転し、翌年にはNPO法人化された。
ここ最近、同会への登録者数が急増。例年は一年に3人程度だったが、今年4月から9月までで既に9人の新規登録があったという。増加の理由について岡本所長は「区、高次脳機能障害支援センターなどとの連携がとれるようになってきたためでは」と分析している。しかし、同会のスタッフは最大で3人。一日平均16人ほどの利用者たちは、それぞれ作業する内容が違うため、スタッフはその下準備に追われるなど、キャパシティの問題も浮上している。
認知進まぬ「高次脳機能障害」
根っこの会に登録している利用者の約半数が該当する「高次脳機能障害」は、脳梗塞などの病気や、事故による頭部外傷などによって脳に損傷を受けた場合の後遺症の一つ。主な症状として、注意障害や記憶障害、社会的行動障害などがあり、見た目には分かりにくいため認知症と間違えられることも多く、社会的認知も依然低い。実際に、「どこに相談すればいいか分からない」という声も多いようだ。
そこで、同会や区内の関係各所が連携し、「こうほく高次脳機能障害支援ネットワーク」を今年7月に発足した。これにより、担当外の相談がきてもネットワークを通じて担当機関で対処できるような仕組みになっており、今後さらに活用されていく予定だ。
岡本所長は、「障害がある方をまだまだ把握しきれていない。困ったときに行く先を迷わず相談できる環境をつくっていきたい」と抱負を語る。同会【電話】045・350・5526。
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