生活道路耐震対策 150橋で「工事必要」 優先順位つけ整備へ
横浜市は災害対応力強化を目的に橋の地震対策を進めている。震災時の緊急輸送路など重要橋梁と位置付ける橋は2012年度中に大部分が対策工事を終える見通しだが、一方でそれ以外の一般橋梁の対策は進んでいない。
横浜市は阪神・淡路大震災発生直後の95年度から橋脚補強や橋桁の落橋防止対策、架け替えを進めている。
市道路局建設部橋梁課で管理する橋は1700。その内、緊急輸送路のほか、道路や鉄道を跨ぐ橋など607橋については震災で被害が出た場合に影響が大きい重要橋梁として位置付け、調査の結果、対策が必要な354橋の工事を優先的に進めてきた。今年度も18億5038万円の予算で工事を実施しており、12年度末までに98%にあたる347橋の工事が完了する見込みだ。
一方、重要橋梁以外の一般橋梁は、今年度から耐震補強工事が必要かどうかの調査を開始したばかりだ。
調査は阪神・淡路大震災クラスの地震で落橋など損傷が想定されるかどうかを基準とし、旧耐震基準の95年以前に設計された橋で、橋長が25m以上ある橋や橋脚がある橋を対象としている。同課によると耐震補強が必要な橋は150橋程度になると想定。今後は地域に密着した生活道路や地域防災拠点までの避難経路にあたる橋、設計が古い橋などを選定し、優先順位をつけて次年度から工事を進める方針だ。しかし、着工まで時間がかかる橋も。同課は「10年をめどに完了したい」とし、「極力速やかに着工したい」とするが、予算の都合もあり、工事のスピードアップは難しい状況だ。
同課は市民の不安をあおりかねないとして、耐震補強が必要な橋について公表する予定はないとし、市民が使う橋の危険度を知る術がないのが現状だ。同課は特に80年以前に設計された橋は脆弱である可能性があるとしているが、「橋の長さが15m未満であれば、おそらく安全であると想定している。また、どの橋も日常的に点検はしており、健全な状態は保たれている」と説明する。
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