「強引な訪問販売で契約させられた」など高齢者の消費者被害が広がっている。横浜市は事業者と協力し新たな取り組みに着手。消費者被害の相談先の電話番号を記した「お助けカード」を、民間事業者を通じて9月中旬から順次配布する。
ネット相談約5倍に
横浜市消費生活総合センター(港南区)に寄せられた60歳以上の消費生活相談件数をみると、2009年度は5431件だったのに対し、16年度は8003件と約1・5倍に増加。中でも急増しているのは、不明確な有料サイトの使用料を請求されるなどの「デジタルコンテンツ」に関するものだ。12年度に150件だった相談が、15年度は703件と約4・7倍に。高齢者の間でスマートフォンの利用が広がる一方で、消費者被害も拡大している。
これまで市は民生委員らによる地域の見守りやイベント・チラシで消費者被害防止の啓発を行ってきたが、増え続ける被害に新たな対策を模索。「外出機会が少ない」「地域との関わりが薄い」など啓発が届きにくい高齢者にも注意喚起を促すため、昨年秋から連携できる事業者を探していた。
生協・通信業者が協力
こうした現状を受け、市は日ごろから組合員と顔が見える関係性を築いている神奈川県生活協同組合連合会と協定を締結。また急増するデジタルコンテンツ被害に対応するため、通信事業者のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの協力も得た。
これらの事業者を通じて9月中旬から順次配布されるのが、昨年作成した「お助けカード」=写真=だ。財布などに入れやすい名刺サイズで、市消費生活総合センターの電話番号が記載されている。市経済局の担当者は「中にはトラブル解決を騙る悪質な事業者も。『しまった』と思ったら、まずは気軽に相談してほしい」と話す。
各生協は、食材や夕食の宅配をする時や店舗、イベントなどの機会を利用し、気になる様子の高齢者にカードを手渡していく。また協力通信事業者の市内各店舗では、スマホを新規購入した65歳以上の人にカードを配布する。年間の配布予定枚数は県生協連合会で4万枚、通信事業者で7万枚。
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