横浜市は今年度、児童虐待防止の観点から保育所や幼稚園などに所属していない未就園児らの状況を把握するため、家庭訪問を行う。これまで以上に児童の安全確認・確保に努めていく方針だ。
全国的に児童虐待の被害が発生していることから、厚生労働省は昨年7月、虐待防止対策の強化として各自治体へ児童の安全確認を目的とした緊急把握を指示。横浜市はこれを受け、市内に住民票があるが、これまで状況を把握できていなかった「保育所や幼稚園等に所属していない」、「地域子育て支援拠点等の福祉サービスを利用していない」などの4から6歳児を対象に調査を行った。
全国の対象総数が1万5270人に上った中、市こども青少年局によると市内の対象者は936人。その中には市が情報を持っていなかったインターナショナルスクールなどへ通う例もあり、それらの施設へも調査。それでも状況が把握できない児童には家庭訪問を実施し、今年3月中旬までに全ての児童の安全が確認されたという。
この調査を機に市は今年度、未就園児らの状況把握について予算化。各区のこども家庭支援課などの職員と、予算を活用して新たに雇う看護職のアルバイトが昨年度と同様の調査を行い、最終的には家庭訪問を通じた目視などによって安全確認に取り組む。同局担当者は「家庭の方針で保育所や幼稚園に所属しない児童もいる中、新たに支援が必要な児童がいることも把握できた」と話す。
児童福祉司21人増員
市内の児童虐待相談への対応件数は増加傾向。2017年度は6796件で、同基準で統計を取り始めた11年度から倍増している(疑いも含む)。
市は今年度、さらなる対策強化として相談に対応する児童福祉司を21人増員。これにより市内の人員は最新の基準を満たす130人となり、事後の対応だけでなく、被害の未然防止にも注力する。
児童虐待の防止や予防に取り組む全国で最初の民間団体「認定NPO法人児童虐待防止協会」(大阪府)の津崎哲郎理事長は「定期的な状況把握は大切。一方で保護者の反発を生まないような配慮も必要となる」と話した。
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