東京大学野球部のエースで戸塚町出身の宮台康平投手(3年)が、4月9日に行われた東京六大学野球春季リーグの早大戦で13奪三振を記録。1946年に山崎諭選手が樹立した「1試合12奪三振」の東大記録を70年ぶりに更新した。
「試合自体は負けてしまったので悔しい」と宮台投手。それでも「歴史の長い野球部に名前を刻めたのは嬉しい」と感慨深げだ。
左腕からのストレートは最速145キロ。「足の力を使って早い球を投げようと意識している」と話す通り、オフシーズンは走り込みに徹することで足腰を鍛えてきた。「東大野球部だからといって他の大学に萎縮せず、互角だという気持ちで戦っていきたい」
大学で急成長
野球との出会いは小学生の頃。父の勧めで戸塚ホークスに入団し、区大会の優勝などを経験した。その後戸塚中学校野球部、湘南高校野球部に所属。かつては外野手と投手の両輪だったが、高校2年時、エースがケガで離脱したことをきっかけに、投手専門になった。
投手として大きく成長したのは、大学入学後だという。身長が数センチ伸び、体重も10キロ近く増加。ウエイトトレーニングなども奏功し、高校時は130キロほどだった球速が大幅に伸びた。「いつ大きく成長できるかわからない。今まで野球を続けてきて、本当に良かった」という。
一方で「早慶などの強豪校に入学したら、どうせ試合には出られないと、野球部に入らなかったと思う」と振り返る。東大への入学は、まさに人生を大きく変えるような出来事だった。
「目の前に100%」
湘南高校は県内でも屈指の進学校だが、宮台投手は3年間、野球と勉強を両立。東京大学文科一類へは現役で合格した。
文武両立に悩む中学生・高校生に対しては「目の前のことに100%の力で取り組んで」とアドバイスを送る。宮台投手自身、高校時代はテスト前にまとめて勉強するのではなく、できるだけ授業中に理解するように努めてきたという。「野球で悔しい思いをしたときは勉強に、勉強に悩んだときは野球に打ち込んできた。気分転換という意味でも、両立は良かった」と話す。
東大を強豪校へ
将来については「模索中」という宮台投手。「目の前のことに100%」という姿勢は、今も変わっていないようだ。「まずは開催中の春季リーグ。一つでも多くの勝利につなげるのが自分の仕事だと思う」と力を込める。「『東大が何位に食い込んでもおかしくない』と思われるようなチームを作っていきたい」。爽やかな笑顔の中に、揺るぎない闘志が見える。
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