横浜市立大学木原生物学研究所(舞岡町)で栽培された大麦を使用したクラフトビール「KORN(コルン)MUTTER(ムッター)麦畑の精霊」が、5月から販売されている。
同研究所が育てた「ミカモゴールデン」という品種の大麦を使用。クラフトビール製造会社のサンクトガーレン有限会社(厚木市)で製造された。
同研究所は、小麦の遺伝子研究の先駆者で「ゲノム」の概念などを提唱した故木原均博士が1942年に創立。その後同大学に移管された。現在も木原博士の精神を継承し、様々な種類の小麦や大麦が栽培され、研究がなされている。
地域と交流しながらビールをつくることで、麦の魅力や大学の魅力を発信しようと始まったこのプロジェクト。かつて横浜は「相州小麦」の産地として栄えていたという歴史的な背景もふまえ、「横浜産の麦の復活」も狙っている。
「歴史に思いを馳せて」
今回のビールの名称は、ドイツの民間信仰に由来した。現地では精霊コルンムッター(麦の母)が、受粉を助ける風を送るといわれているという。そんな不思議な力を感じさせる「麦」の魅力を熱く語るのが、ビール造りに携わった同研究所の坂(ばん)智広教授だ。
「四大文明が生まれた背景にも、小麦の力が大きかった」と坂教授。小麦の栽培のために灌漑技術が発展し、さらに小麦の交換によって社会のルールや価値の概念、文字の発明にもつながっていったという。「このビールを飲みながら、麦の歴史や可能性に思いを馳せてほしい」と語る。
商品はサンクトガーレン有限会社のウェブサイト等で購入できる(【URL】http://sanktgallen.shop-pro.jp/?pid=116833686)。問い合わせは同大学地域貢献センター【電話】045・787・2205。
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