朝晩の冷えを感じるとおでんがおいしい季節の到来―。1941年、築地場外に「紀文」の店名で海産物卸売業を開業した(株)紀文食品は、現在、全国の水産練り製品売上の約2割を占める。同社が1963年、おでん種を中心に販路を広げるため業界に先駆けオートメーション工場として設立したのが戸塚区秋葉町にある横浜工場だ。
高田博之工場長に聞くと、おでん種がスーパーなどで販売され始めるのは意外にも8月末から9月。寒さが本格化する年明けは鍋の方に需要が移りあまり売れなくなる。特に今年は8月中旬に気温が下がる日が続き、注文も増えたという。
手作り製品も
約280人の従業員が働く横浜工場には、ベテランの職人による手作部門があり、一部製品に記される「紀文」の焼印は、品質に絶対の自信と責任をもつ意味で一つずつ手押しされている。手作り製品は築地総本店や百貨店店舗に出荷するほか、一昨年、皇位継承の重要な祭祀「大嘗祭(だいじょうさい)」の祝宴にあたる「大饗(だいきょう)の儀」では横浜工場のかまぼこが提供された。
高田工場長は九州出身。長年の単身赴任生活から料理上手になり、社内のレシピコンテストで優勝するほどの腕前だ。同工場の製品でおすすめは、ぷりぷりの食感で何もつけずに美味しい「竹笛」と、いわし本来の味が楽しめる「紀文つみれ」。また最近は、おからとこんにゃく粉を使った「糖質0g麺」が人気で製造ラインを増やしているという。正月に向けた繁忙期、「温かいおでんで身も心も温まって下さい」と笑顔で話した。
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