第213回 男のおしゃれ学 「ブルー・ライト・ヨコハマ」パリ本部FIMT国際デザイナー中嶌 敏男
親子三代続いて江戸に住まないと「江戸っ子」になれない。一方、横浜は三日住めば「ハマッ子」になれるという。この言葉には、地方から出て来た人も異国の人も差別なく快く受け入れてくれる、貿易で発展してきた横浜ならではの土地柄がにじみ出ているように思う。
昭和43年、日本が高度経済成長下であった頃、筆者は初めてサニー・クーペというスポーツタイプの車を買い、乗り回していた。カーラジオから流れてくるブルー・ライト・ヨコハマは青春の思い出深い1曲である。いしだあゆみが声をしぼり出して歌う「街の明かりがとてもきれいねヨコハマ」の歌詞に、田舎育ちの若い女性が抱く孤独と不安の心が聴こえた。一人ぼっちで、都会生活の星屑に埋もれそうな淋しさの中どう生きようか――。田舎から出てきた筆者も胸の痛む1曲だった。
若い頃は誰でも自分はどう生きれば良いのか不安でいっぱいだが、それが甘酸っぱい青春の思い出になるのかもしれない。
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