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舞岡熊之堂遺跡 偶然発見した照空隊陣地 歴博で25日まで展示

文化

公開:2023年6月1日

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写真右上、古屋センター長/左上、照空灯に使われた炭素棒/中央、今回の企画展の様子/上空からの舞岡熊之堂遺跡
写真右上、古屋センター長/左上、照空灯に使われた炭素棒/中央、今回の企画展の様子/上空からの舞岡熊之堂遺跡

 現在、横浜市歴史博物館(都筑区)で「舞岡熊之堂遺跡のすべて」が開催中だ。同遺跡には第二次世界大戦中、日本軍の照空隊陣地が置かれており、関連の出土品が多数展示されている。

 照空隊は、米軍爆撃機B29が本土に飛来した際、照空灯で機体を照らすための部隊。同大戦末期、日本各地に配置されていた。他の場所に陣取った高射砲部隊は、照空灯の光を頼りに迎撃を行っていたという。

 今回展示されているのは、2017年から20年の発掘調査で出土した、旧日本軍照空隊陣地にまつわるもの。照空灯の光を発生させるための原理「アーク放電」に用いられた炭素棒や電線を使うための絶縁体である碍子(がいし)、殺虫剤やかみそりといった日用品など貴重な資料だ。このほかにも、遺跡の位置を示した地図や全体図、照空灯の仕組みや運用方法など展示は多岐に渡る。

 想定外の発見

 今回の調査はもともと縄文、弥生時代を中心とした遺跡を発掘するために始まった。そのため、調査を主導した横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センターの古屋紀之センター長は「事前に『軍の陣地があった』という情報はあったが、たいして気に留めていなかった」と語る。発掘を進め、巨大な陣地跡が出土してから初めて、先の情報を思い出したそう。

 そこへ、「近隣住民の家を分隊長が訪れた記録がある」という新たな情報が舞い込んだ。また、似たような遺跡が川崎市麻生区の黒川にもあることが分かった。黒川の調査は30年前に行われており、実際に駐屯した人からの聞き取り調査など詳細な記録が残っていた。

 それらの情報を照らし合わせることで、舞岡熊之堂遺跡の全容が見えてきた。ただし、「ほかの遺跡や資料から見つかっていない組み合わせ式の碍子が出土するなど、まだ謎はある」と古屋センター長。

身近にある戦争の痕跡

 舞岡の照空隊陣地跡は、終戦直後米軍によって撮影された航空写真でも確認できないという。陣地が設置されていたのは1944年12月から翌年7月までであり、撤収の際、軍事上の機密保持のために埋められたと見られる。また、舞岡はB29の飛行経路に当たっていないことや、高射砲の射程ではB29の飛行高度まで届かないことから、多くの戦果を挙げたとは考えにくい。

 古屋センター長は「戦略的に機能していない。そのため地域住民も知らない。しかし、身近なところに戦争の遺跡があると知ることは意味がある」と話している。

 縄文、弥生時代の出土品も含め展示。企画展「横浜発掘物語」も開催中。期間は6月25日(日)まで。問い合わせは横浜市歴史博物館【電話】045・912・7777。

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